ぴいぷる 俳優・渡辺いっけい 「大人の恥」は悪くない 『ごめんなさい』と謝ることが増え…成長につながる何かが生まれる

彼のキャリアの中でも異質ながら、大きな話題を呼んだ出演作が、ＮＨＫ・Ｅテレのアニメ「おしりたんてい」だ。声優として、かわいらしい犬のキャラクター、マルチーズしょちょう役を担当している。

「１回くらいやってみませんかみたいなノリで、『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじをイメージしてやってみたら、それが通ってしまって…。舞台とは全然違う声を出すので大変なんですけどね」と照れ笑い。

今年３月には劇場版の新作が公開。ホームグラウンドではないアニメのアフレコではたびたび苦戦しているそうだが、一方で「慣れない仕事で恥をかくのは、決して悪いことじゃない」とも。

「ベテランになると、怒られる機会が減るんですけど、新しいことにチャレンジすると素人の状態からスタートするので、『ごめんなさい』と謝ることが増える。そこから成長につながる何かが生まれるんじゃないかと考えているんです」

アニメ声優の挑戦を経て、現在は「いかに力まず、いい演技ができるか」をテーマに掲げている。

「だんだんと物覚えが悪くなり、昔得意だったことも得意じゃなくなってきました。人間としての衰えの現実ですね。ただ、それを容認することも大切だと思うんです。力んで１００％を求めるのではなく、別の表現を探すことで、思ってもみなかったような発見が出てくるかもしれませんから」

これからさらに円熟味を増した演技を見せてくれそうだ。

あすは医師の安川康介さんです

（ペン・磯西賢／カメラ・高橋朋彦）

■渡辺いっけい（わたなべ・いっけい）　俳優。１９６２年１０月２７日生まれ、６１歳。愛知県出身。大学在学中に当時学生劇団だった「劇団☆新感線」で活動し、その後上京して唐十郎さん主宰の「状況劇場」に入団。９２年のＮＨＫ連続テレビ小説「ひらり」をきっかけに注目を集めて以降、舞台のみならず、数多くのテレビドラマや映画に出演している。近年の出演作に２０２０年公開の映画「いつくしみふかき」（大山晃一郎監督）、今年７月期ドラマ「笑うマトリョーシカ」（ＴＢＳ系）など。

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