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ニュース裏表 平井文夫 フランスで第1党となった「国民連合」率いるルペン氏、もう「極右」ではない 欧州の「右派」旋風は日本にも届くか

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月13日 6時30分

EU(欧州連合)の立法機関である欧州議会の選挙で、右派政党が議席を増やした。特に、フランスではマリーヌ・ルペン党首率いる「国民連合」が第1党となった。この結果を受け、エマニュエル・マクロン大統領は議会下院を解散、まもなく選挙が行われる。国民連合が過半数を取って、ルペン氏が首相になる可能性が強くなっている。

欧州議会選挙ではこのほか、ドイツで右派の「ドイツのための選択肢」が議席を倍増し、オラフ・シュルツ首相率いる「社民党」を抜いて第2党になった。イタリアのジョルジャ・メローニ首相率いる右派政党「イタリアの同胞」も大幅に議席を増やした。

右派勢力は、現状のEUの「寛容な移民政策」や「厳しい環境規制」について批判的な態度を取ることが多いため、メディアは「EUの右傾化が進む」と否定的なニュアンスで報道しているところが多い。

だが、欧州では不法移民が大きな社会問題を引き起こしているし、環境規制も外から見ていると厳しすぎるようにも見える。見方を変えれば、当然の揺り戻しと言えるのだ。

左派は全体に退潮傾向だが、だからといって「右の勝ち、左の負け」という簡単な図式ではない。

例えば、米大統領選では、民主党政権の行き過ぎた移民政策への反発などから、共和党のドナルド・トランプ前大統領優勢と伝えられる。英国では、保守党の経済政策が失敗して来月総選挙が行われ、どうやら労働党に政権交代しそうだ。

つまり、各国で「移民」「インフレ」「国際紛争」などによる経済低迷や格差拡大が起きており、有権者の怒りは現政権に向かっている。一方で、保守ポピュリズム政党は「移民禁止」や「グローバリズムの否定」など、過激な政策を打ち出して人気を得ているというのが欧米の現状だ。

この欧米に吹き荒れる風は日本にも届くのだろうか。

一つ気になることがある。ルペン氏のことを、日本のメディアは「極右」と表現している。だが、フランスの有権者がもし彼女を首相に選んだら、もう極右ではなく右派、あるいは保守と呼ぶべきだろう。右か左かはあくまで比較の問題であり、フランス国民にとって、もはやルペン氏は「極めて右」ではないからだ。

イタリアのメローニ首相が「意外」と言っては失礼だが評価が高い。彼女のことも、メディアは就任当時、極右と呼んでいたが最近は右派に変えている。

筆者の経験では、欧州のメディアは日米に比べてさらに左寄りなので、ルペン氏やメローニ氏を許せないのだと思うが、彼女らの政策を見る限り、少なくとも極右ではない。ちょっと右寄りだからといって極右と決めつけ、「とんでもないヤツらが政権を取る」などと騒ぐのはもうやめた方がいいと思う。

多分、有権者が考える政策の軸は昔に比べ右に、いや左から真ん中に、シフトしているのだ。 (フジテレビ特別解説委員・平井文夫)

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