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江崎道朗 国家の流儀 対中戦略骨子案に「台湾の独立」トランプ氏に近い外交・安保チームが戦略の柱に 見捨てるどころか防衛強化示す

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月22日 6時30分

飛行機から見た台北市の街並み(夕刊フジ)

わが国は、中国、北朝鮮、ロシアという「3つの核保有国」の脅威に直面している。この脅威に対応するためにも、外交・安全保障、特に米国との関係が極めて重要になる。

厄介なのは、米国の動向についての日本のマスコミ報道は一方的なものが多いということだ。

米国では、この秋の大統領選挙に向けて民主党のカマラ・ハリス副大統領と、共和党のドナルド・トランプ前大統領が激戦を繰り広げている。

ところが、日本のマスコミの多くは、民主党ひいきの報道が多い一方、トランプ氏に対しては否定的だ。そのためか、「米国第一」のトランプ氏が再選されると、日米同盟がおかしくなるだけでなく、「台湾などは見捨てられるのではないか」みたいに誤解している人もいる。

だが、トランプ氏に近い外交・安全保障の専門家たちと話をすると、台湾を見捨てるどころか、台湾防衛を強化するつもりだ。

日本では、外交・安全保障政策を官僚たちが作成することが多いが、米国の場合は民間シンクタンクが担当している。

トランプ氏に近いシンクタンクの1つが「米国第一政策研究所(AFPI:America First Policy Institute)」だ。このメンバーが今年1月に訪日した際、「中国共産党の悪意の影響に対抗する」と題した10項目の対中戦略骨子案を持参してきた。

戦争が嫌いなトランプ氏らしく、貿易、金融、経済、インテリジェンスなど非軍事手段によって中国に対抗しようとしているが、台湾について以下のように記されている。

《9 台湾人の政治的孤立を解消すること 台湾は、米国の正式な外交関係を持たない唯一の民主主義国家である。われわれは台湾との外交、文化、経済的な結びつきを奨励し、巨大な共産主義国家である隣国の脅威にさらされている、小さくて成功した中国民族の民主主義国家である台湾を支援することの重要性について、米国民を教育すべきである》

米国民の「教育」掲げ

台湾防衛について米軍が関与するためには、米国世論と議会の支持が必要だ。そこで米軍が関与できるよう、米国民に「教育」すべきだとしている点がポイントだ。

《10 台湾の独立を維持するために必要な軍事支援を台湾に提供すること 米国は、台湾の自衛を強化するという公約を守り、台湾が中国共産党の侵略から自国を守るために必要と考えられる防衛装備品や訓練の取得を妨げる制限を撤廃しなければならない》

まず、「台湾の独立(Independence)」と書いている点に注目してほしい。そして、台湾の自衛を強化するため、中国大陸への反撃能力を含む防衛装備品の輸出と軍事訓練の提供を解禁すべきだと主張しているのだ。

要は、「台湾有事」への備えが、トランプ氏に近い外交・安保チームの対中戦略の柱なのだ。日本も台湾に関して思い切った安全保障政策を打ち出さなければならなくなるだろう。

■江崎道朗(えざき・みちお) 麗澤大学客員教授・情報史学研究家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎道朗塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、23年にはフジサンケイグループの「正論大賞」を受賞した。著書・共著に『シギント―最強のインテリジェンス』(ワニブックス)、『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作』(扶桑社新書)、『日本の軍事的欠点を敢えて示そう』(かや書房)など多数。

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