日本の解き方 「ポスト岸田」争う総裁選レースに号砲 派閥消滅で候補者乱立の可能性も 首相に党人事や内閣改造の余力はあるのか
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月28日 11時0分
通常国会が6月23日に閉会した。岸田文雄首相は、ガソリン代や電気・ガス代の補助を延長することを決めたが、9月の総裁選を控えて岸田首相の思惑はどのようなものか。「ポスト岸田」を狙う面々はどう動くのか。
内閣支持率は、いつ倒れても不思議でないくらい低迷している。毎日新聞が22、23日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は17%と、5月18、19日実施の前回調査から3ポイント減となった。読売新聞が21~23日に実施した調査でも、2021年10月の内閣発足以降最低となる23%で、前回調査(5月17~19日)から3ポイント減った。もう完全に政権末期の状況だ。
公約だった憲法改正や、欧米における対中関税引き上げに対応するための関税定率法改正など、国会会期延長の大義名分はいくらでもあったはずだが、結果として岸田政権はできなかった。その段階で首相の求心力は既にないといえる。後は、北朝鮮に破格の好条件を提示して電撃的な日朝首脳会談を行うくらいしか打つ手はなくなっている。
党内派閥を解消させたので、表立っての倒閣運動は見えないが、水面下では「ポスト岸田」の動きが加速している。
非主流派では、菅義偉前首相が6日、頭文字を取ってアイドルグループと同じく「HKT」と言われる萩生田光一前政調会長、加藤勝信元官房長官、武田良太元総務相と会食し、小泉進次郎元環境相も加わった。
その中で人柄がよく、政敵がいない加藤氏を推す動きとみられている。というのは、萩生田氏と武田氏はともに政治資金問題で党役職停止1年の処分を受けており今回は〝1回休み〟だ。小泉氏はまだ若く、父の純一郎元首相が許さないとして、加藤氏しかポスト岸田の適任者はいないからだ。
主流派で岸田政権の後ろ盾である麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長は、岸田首相がイタリアサミットで外遊中の14日に会合を開いた。サミット出発前、岸田首相は再三、麻生氏との会食を希望したが、麻生氏からは断られていた。帰国後に会食は実現したが、麻生氏が推す上川陽子外相か別の誰かが「ポスト岸田」候補となる可能性がある。また茂木氏も候補だ。
党内国会議員の人気はいまいちだが、地方党員に人気のある高市早苗経済安保相も、前回の総裁選と同様に明快な保守国家観を披露している。既に地方行脚を展開しており、総裁選へスタンバイ状態だ。
さらに、前回総裁選に出馬した河野太郎デジタル相や、若手から期待の小林鷹之前経済安保相も「ポスト岸田」に名乗り出てくるという声がある。
麻生派を除いて派閥がなくなったので、さらに候補者は広がる可能性がある。その麻生派から、公然と岸田氏の批判が出始めるなどしているが、国会が閉会し、衆院解散が事実上なくなったことで、その動きはさらに激しくなるだろう。
「ポスト岸田」を争う総裁選に向けて号砲は鳴った。岸田首相は党人事や内閣改造に踏み切るともいわれていたが、いまでもその余力があるのだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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