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ニュース裏表 峯村健司 変貌したハリス氏vsトランプ氏で混戦に 米大統領選、世論調査では僅差で支持率逆転 日本は「もしハリ」に備える必要も

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月27日 15時0分

トランプ氏(夕刊フジ)

11月の米大統領選で再選を目指していた民主党のジョー・バイデン大統領(81)は21日、再選を断念し、選挙戦からの撤退を表明した。6月末のテレビ討論会で失言が相次いだことで、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)に支持率で差が開き、民主党内で撤退圧力が高まっていた。バイデン氏は後継候補としてカマラ・ハリス副大統領(59)を支持する考えを示し、ハリス氏は立候補の意向を明らかにした。

そして、ハリス氏は23日、選挙の行方を左右する激戦州の中西部ウィスコンシン州で、支持者向けの選挙集会で初めて演説した。元検察官という自身の経歴を強調しながら、5月に不倫の口止め料をめぐる刑事裁判で有罪評決を受けたトランプ氏の批判を展開した。

「私はトランプ氏がどのような類いの人間か知っている」

ハリス氏は、今回の選挙を「検察官vs犯罪者」の戦いだと印象付けるように、かつて検察官としてさまざまな犯罪者たちと向き合った経験を振り返った。

演説の中継を見た筆者は、ハリス氏の雄弁な語り口に驚いた。副大統領としてのハリス氏の演説は、失言が少なくなく精彩を欠いていたからだ。その変貌ぶりは明らかだった。

実際、ロイターなどが22~23日に実施した世論調査では、ハリス氏への支持は44%で、トランプ氏は42%となった。今月1~2日の調査では、トランプ氏がハリス氏を1ポイントリードしており、今回僅差で逆転したかたちだ。サンプル数が約1200人と少なく信憑(しんぴょう)性には疑問符がつくが、バイデン氏からハリス氏への流れが勢いづいていることを示したものといえる。

ただ、ハリス氏の副大統領時代の実績をみると、執政能力に不安がある。副大統領として実績はほとんどない。数少ない担当だった移民問題では、国境に押し寄せる移民への対応が遅れたうえ、2021年6月の中米グアテマラ訪問の際には、米国に「来ないでほしい」と発言すると、党内の左派からも反発を受けた。

また、リーダーとしての資質も疑問視されている。就任後、副大統領室のスタッフが次々と辞任した。昨年末にホワイトハウスを辞職した元当局者は「バイデン氏が再選しても2期目を全うできるとは思えず、『ハリス大統領』の下では働きたくなかった」と振り返る。

カリフォルニア州の地方検事や州司法長官を経て上院議員を1期務めたハリス氏は、外交や安全保障の経験はほとんどない。米軍の最高指揮官として、ロシア・ウクライナ戦争や緊迫する中東情勢に対処ができるのかは不透明だ。しかも、仮に11月の大統領選でハリス氏が僅差でトランプ氏に勝った場合、前回選挙のようにトランプ氏の支持者がデモや抗議運動をして混乱をもたらす恐れがある。

日本では、トランプ氏が勝利したことを想定した「もしトラ」への対策が議論されている。しかし、「もしハリ」にも備える必要が出てきたと言ってもいいだろう。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司)

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