森永康平の経済闘論 税収、5年連続で過去最高も 自公はドケチ減税「税収減」盾にちぐはぐ財政 石破政権は一貫した政策を
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月26日 6時30分
自民・公明両党は20日に決定した税制改正大綱において、「年収103万円の壁」として話題を集めていた非課税枠の103万円を123万円に引き上げることを明記した。国民民主党は30年前から最低賃金が1・73倍に上がっていることを根拠として、178万円まで非課税枠を引き上げることを主張していたが、与党はこの30年間の消費者物価の上昇率を踏まえて1・2倍の123万円を主張していた。
足元の経済環境に目を向けると実質賃金が低下し続けることで消費が停滞し、日本社会全体では労働市場における人手不足や少子高齢化などいくつもの課題が山積みである。1つの政策で全てを解決できることはないのだが、今回の国民民主党の提案は有効な解決策の1つとなるであろう。
しかし、与党は非課税枠の引き上げによって、税収が地方で5兆円超、国は2兆円台半ばの減収になることを懸念して非課税枠の引き上げには慎重な姿勢を見せている。
税収が低下することで地方の公共サービスの質が低下するなどの話も出ているが、2024年度の税収は73兆4350億円になるとの見通しが発表されており、仮に実現すれば5年連続で税収が過去最高を更新することになるのだが、その間は公共サービスの質は向上したのだろうか。そもそも、減税政策を考える際に単年度では税収が減ることを懸念するのはよく分からない。複数年度で考えるべきだろう。
石破茂政権は政策として最低賃金を「20年代に1500円」に引き上げる目標を明記している。また、10月の所信表明演説では「デフレ脱却を最優先に実現する」とした。物価に関しては日本銀行も「2%の物価上昇率を持続的・安定的に実現する」ことを目標にしている。
仮に政府・日銀の目標が実現され、30年までに最低賃金が1500円になり、物価も年間2%ずつ上昇した場合、今回123万円に引き上げるとした「壁」は近いうちに改めて引き上げることになるのではなかろうか。
長期にわたる実質賃金の低下を背景にした消費不振、人手不足、少子高齢化など、課題が山積みのわが国において、財政を制約としたちぐはぐな政策を打ち出すのではなく、課題解決に向けたブレのない一貫した政策を打ち出す必要がある。
■森永康平(もりなが こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。
この記事に関連するニュース
-
森永康平氏 年収の壁問題と最低賃金引き上げで自公に苦言「経済政策がちぐはぐ過ぎて一貫性がない」
東スポWEB / 2024年12月24日 15時59分
-
森永卓郎氏 年収の壁引き上げ、現状の123万円に「維新が最後になって裏切ったというのが大きい」
スポニチアネックス / 2024年12月23日 12時25分
-
自民・佐藤正久氏 与党123万円案、65%の視聴者“評価しない”に「もっと上げようと思えば財源を」
スポニチアネックス / 2024年12月22日 9時49分
-
年収の壁〝ドケチ査定〟「123万円」ではむしろ負担増?減税効果わずか1万円…国民民主党・榛葉氏「来年以降、ヒリヒリする交渉が続く」
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月21日 15時10分
-
姑息な〝減税潰し〟石破自民のドケチ戦略、国民民主と維新を両天秤 年収の壁「123万円」で政権維持へ「より安上がりな連携」図る
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月20日 11時35分
ランキング
-
1船井電機会長の即時抗告を却下 破産手続き巡り、東京高裁
共同通信 / 2024年12月26日 21時52分
-
2企業の新規株式公開伸び悩む…5年ぶり90社割れ、大型上場目立ち新興・中小は見送り
読売新聞 / 2024年12月26日 23時30分
-
3女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
42024年の日本経済は“歴史的なことだらけ” 一方で景気回復の実感「全然ない」 課題に「中小企業の賃上げ」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月26日 17時10分
-
5イデコ、加入年齢上限引き上げ=70歳未満に―厚労省方針
時事通信 / 2024年12月26日 20時19分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください