令和の岐路 10・27衆院選 「草の根」発の〝ネット主導〟が日本の政治を変える? 兵庫県知事選、失職した斎藤氏の手腕見直す「カウンター世論」が勃興
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月26日 10時0分
今回の連載では、自民党のリベラルシフトに反発する「岩盤保守層」(第1回)や、社会保障の世代間格差に異を唱える現役世代の声(第3回)など、政治や言論の〝非主流派〟の動きを紹介してきた。
いずれも、新聞や地上波テレビなど大手メディア発ではない、「草の根」発の世論だ。彼らは一人一人が微力でも決して無力ではない。マスコミが最初は無視しても、SNSやユーチューブの普及によって草の根の〝非主流派〟が世論の塊をつくり、政局や選挙で〝主流派〟に対抗できるようになった。
今年夏の東京都知事選では序盤、マスコミが小池百合子氏と蓮舫氏の「女傑対決」を打ち出したが、ユーチューブで人気だった前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏が蓮舫氏を上回る2位に大躍進した。「テレビ選挙」と言われてきた都知事選の構図が崩れ、永田町に激震が走った。
自民党総裁選でも、当初は、石破茂氏と小泉進次郎氏の「2強対決」と言われていた。だが、ネット主導で保守勢力のうねりが起き、高市早苗氏を党員票トップに押し上げた。
そして、石丸氏、高市氏に続く「旋風」の可能性が取り沙汰されているのが兵庫県知事選(10月31日告示、11月17日投開票)だ。失職した斎藤元彦前知事のパワハラ・おねだり疑惑について、カウンター世論が勃興した。就任時からの改革内容や手腕が見直されている。
斎藤氏の街頭活動には連日、彼を後押しする県民たちが長蛇の列をつくって応援し、メディア関係者を驚愕(きょうがく)させた。バッシングが続いたにもかかわらず、神戸新聞が10月中旬に行った知事選の情勢調査で、斎藤氏は前尼崎市長に次ぐ2番手につけ選挙戦が注目される。
ネット主導による世論形成のパラダイムシフトは偽情報拡散などの課題は抱えるが、日本の政治文化を変える可能性を秘める。
米国では、歳出削減と減税の「小さな政府」を党是とする共和党と、歳出増と増税の「大きな政府」路線の民主党が定期的に交代してきた。日本の政党は、自民党から共産党まで程度の差はあれ、ほぼ「大きな政府」路線だ。
しかし、高齢化で膨張が止まらない「社会保障コストの縮減」と、「現役世代の手取り増」を求めるSNSの「減税派」が広がりつつある。
人口減少に伴う日本の再編成が迫られるなか、米国型の「小さな政府」を志向する新しい「階層」が、日本の政治とメディアに根付くのか、個人的に注目している。 (報道アナリスト 新田哲史)=おわり
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