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昭和歌謡の職人たち 伝説のヒットメーカー列伝 横井弘(作詞家)ザ・ピーナッツ「心の窓にともし灯を」 昭和世代には忘れられない…人を励ます歌は中学校の教科書にも掲載

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月20日 15時0分

「心の窓にともし灯を」を歌ったザ・ピーナッツ(夕刊フジ)

«病葉(わくらば)をきょうも浮かべて 街の谷 川は流れる»

1961年の「川は流れる」(桜田誠一作曲)を作詞されたのが横井弘さんである。

当時小学生の私には、歌い出しの〝わくらば〟が分からなかったが、マイナー調のメロディーと歌い手の声も刹那感が漂い、寂しさを誘った。

その歌い手は、今年2月に死去された元祖沖縄出身歌手の仲宗根美樹さんだった。彼女の2枚目のシングルで100万枚を超える大ヒット作だ。レコード大賞新人奨励賞を受賞し、「第13回NHK紅白歌合戦」でも歌われた。

横井さんは終戦後、帰る家もなく、知人の世話で長野県上諏訪に転居した。毎日湖畔や山々を歩き、好きな詩作にふけったという。

46年に上京すると、作詞家の藤浦洸さんに師事。49年に八島ヶ原湿原で作った「アザミの歌」がNHKのラジオ歌謡で放送される。歌ったのは「イヨマンテの夜」の伊藤久男だった。

キングレコードでは56年の三橋美智也の「哀愁列車」(鎌多俊与作曲)が250万枚の大ヒットとなる。この曲はいきなり歌い出しから、連呼の歌詞と三橋の高音が響き、衝撃的だった。

後年、私は歌の仕事に就くが、この歌い出しの一節が脳裏に焼き付いているせいか、歌い出しの歌詞を重視したものだ。

60年には、それまで洋楽カバーが多かったザ・ピーナッツの初期のオリジナル作品として「心の窓にともし灯を」(中田喜直作曲)を発売。「NHK歳末たすけ合い運動」で歌われ、中学校の教科書にも掲載された。人を励ます歌として、昭和世代には忘れられない歌である。

レコード会社との専属作家制度がなくなると、76年には千昌夫の「夕焼け雲」がヒットする。この曲を聴くたびに、横井さんにとっては上諏訪時代が心の故郷だったのではないだろうかと思う。

«夕焼け雲のその下で ひとり酒に偲ぶ町»

冬が来ると、諏訪湖に氷が張り、ワカサギ釣りをするのだが、この歌が流れる中、熱かんを飲みながら釣りをするのは、格別な気がするのだ。 =おわり

■横井弘(よこい・ひろし) 1926年10月12日~2015年6月19日、88歳没。

■篠木雅博(しのき・まさひろ) 株式会社「パイプライン」顧問、日本ゴスペル音楽協会顧問。1950年生まれ。東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)で制作ディレクターとして布施明、五木ひろしらを手がけ、椎名林檎らのデビューを仕掛けた。2010年に徳間ジャパンコミュニケーションズ代表取締役社長に就任し、Perfumeらを輩出。17年に退職し現職。

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