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徹底解説・第5弾 男性更年期 職場・生活術から考える改善 上司と部下の板挟み…中間管理職のストレス テストステロンの低下、休養取っても改善せず 順天堂大学大学院・井手久満特任教授に聞く

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月6日 6時30分

順天堂大学大学院医学研究科の井手久満特任教授(夕刊フジ)

順天堂大学大学院・井手久満特任教授に聞く

頭痛や腹痛、倦怠感、生活習慣病など、さまざまな症状に結びつく男性更年期障害(LOH症候群)は、男性ホルモンのテストステロンが低下することで引き起こされる。テストステロンは低下しても気づきにくく、体調不良が起こっていても男性更年期障害とは考えにくいことがある。そこで、職場や生活に沿って症例数の多い個別のケースを追いながら、専門医に改善策を聞いた。

テストステロンの低下は、加齢以外に、ストレスや肥満、運動不足、寝不足など、いろいろな要因で引き起こされる。中でも多いのがストレスである。

「中間管理職が、上司と部下の板挟みのストレスで男性更年期障害になるのが典型的なパターンです。そうした一過性のストレスは、適切な治療を受けて、ストレスを解消することで、低くなったテストステロンは元に戻ります」

こう話すのは、日本メンズヘルス医学会の理事などを務める順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座の井手久満特任教授。LOH症候群診療の手引き作成委員会の副委員長でもある。

たとえば、50代のAさんのケースを見ていこう。中間管理職でストレスも多いが、週2~3回、ジムで汗を流すことでストレスを解消していた。

事の発端は、クライアントの変更で急な業務が増えたことだった。「明日までに頼むよ」と上司からいわれ、自分も部下もフル稼働の徹夜勤務が頻繁に起こるようになった。上司に改善を求めても「クライアントが言うことを聞いてくれない」などと繰り返すばかりで、部下の不満の声も増えてくる。板挟みになったAさんはジム通いも休みも返上し、ストレスと疲労がたまっていった。

「職場でのストレスは、軽く運動するなど、身体を動かすことで解消が可能です。身体を動かすと、テストステロンも増えます。しかし、職場での運動習慣はなかなか浸透しないのが実情です」(井手医師)

Aさんの疲労はピークに達し、頭痛や食欲不振などの体調不良も出てきたため、数日間の有給休暇をとることになった。

「休めば治るだろう」と思い、ベッドの中で過ごしたが体調不良は治まらない。近くのクリニックを受診したが、「血液検査では特に悪いところは見られません。ストレスで体調不良に陥っていると思います。ゆっくり休んで様子を見てください」と医師から言われた。

その後も家でゴロゴロしながら過ごしたが、体調不良に改善は見られなかった。心配した妻から「男性更年期障害じゃないかしら?」といわれ、ネットで情報検索をすると、自分と同じような症状の人が男性更年期障害であることがわかった。Aさんはメンズヘルス外来を受診した結果、回復してジムにも通えるようになった。

「男性更年期障害は、ホルモン補充療法(TRT)を行うと3カ月から半年程度で、劇的に症状を改善することが可能です。体調が戻ると身体活動量も上がるため、テストステロン値も自然に上がりやすくなります。適切に治療を受けることを心がけましょう」と井手医師は呼びかける。 (取材・安達純子) 【あすは「職場環境の変化」です】

■井手久満(いで・ひさみつ) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座特任教授。医学博士。1991年宮崎大学医学部卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校ハワードヒューズ研究所、帝京大学医学部泌尿器科学准教授、獨協医科大学埼玉医療センター教授などを経て2023年から現職。

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