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わが社の「健康経営」 キヤノンマーケティングジャパン(1)がん検診受診率、どうやって60%前後に高めたか 社員向け「がん検診パック」導入など

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月31日 15時30分

社員のがん検診への関心が高まっている(夕刊フジ)

日本では40歳以上に対して「がん検診」が推奨されているが、会社員の受診義務がある定期健康診断とは異なり任意だ。面倒だったり、忘れたりで、受診しない人もいる。結果として、がんの早期発見・早期治療のチャンスを逃すことも。それを防ぐべく、独自の「健康経営」の取り組みで、受診率を上げているのがキヤノンマーケティングジャパンである。

【社員向けがん検診パックの導入】

「キヤノンは初代社長の御手洗毅(1942年就任)がもともと産婦人科医だったこともあり、行動指針の一つに『健康第一主義』を掲げていました。その風土は当社も受け継いでいます。約20年前、従業員のがん検診の受診率が約8%だったため、これを向上させるべく組織的・戦略的に徹底した取り組みを行いました」とは、同社総務・人事本部グループ安全衛生部品川健康支援室主管の木下あけみ氏。保健師で、健康経営の推進に取り組んだ1人でもある。

「当時キヤノンのがん検診制度は、補助金は出るものの、医療機関を自分で見つけなければいけないなど、手間がかかることが受診率の低さにつながっていました。利便性を高めることで、受診率の改善は可能なのではないかと考えました」

こう話す木下氏らが取り組んだ策のひとつは、従業員のがん検診を行ってくれる医療機関を探すことだった。企業向けのがん検診は人間ドックに含まれることが多く、がん検診だけを行う医療機関はなかなか見つからなかった。一件一件医療機関に出向いて、自社向けのがん検診パックをつくってもらい、従業員ががん検診を受診しやすい環境を整えていったという。

現在では健保組合により全国1500カ所以上の医療機関で受けられるネットワークが構築できており、その基礎となった。

【上司が手本を示す】

「2006年から07年にかけて、役員や本部長全員にがん検診を受けてもらって、社内に受診したことを発信してもらいました。また、受診率を事業所や部門ごとにグラフ化したところ、『他に負けられない』とやる気のスイッチが入ったようです」(木下氏)

がん検診受診率は08年には60%を超え、ピーク時は85%までになった。受診者が増えたことで、「がんが見つかったけど早く治療を受けられ、事なきを得た」などの体験談も口コミで広がった。セミナーなどの教育で、がん検診の重要性も浸透したという。

「事業所や部門ごとのがん検診推進者が受診の呼びかけをする協力体制が脈々と引き継がれており、受診率60%前後の高水準を維持しています」(木下氏)

がんは早期発見・早期治療が功を奏すが、受診しやすい環境も不可欠ということだ。 (取材・安達純子)

■キヤノンマーケティングジャパン株式会社 キヤノン製品事業とITソリューション事業を組み合わせることで、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいる。グループ従業員数1万6089人(2023年12月31日時点)。1968年設立。経済産業省等の「健康経営銘柄」「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定。

【健康経営】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。

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