新・親も知らない今どき入試 「京大に現役進学できる学校」ランク 公立校が健闘、北野・西京・堀川・旭丘の４校がランクイン 東大とは異なる特徴も

京都大学（京大）外観（夕刊フジ）

今回は京大の現役進学率が高い学校を集計した、「京大に現役進学できる学校ランク」をお届けしよう。

進学者数は全国の４３８０校にアンケートし、２３５８校から得た回答を基に集計した。膳所（滋賀）や大阪桐蔭（大阪）など、現役進学率が高くても、未集計または、非公表の学校もある。

合格者数ランキングと現役進学率ランキングの顔ぶれは一致しない。２０２４年度の、現浪合計の合格者数ランキングは、１位北野（９０人）、２位洛南（８３人）、３位東大寺学園（７１人）、４位灘（５３人）、５位天王寺（５１人）が並ぶ。

一方、現役進学率ランキングは、東大寺学園、北野、灘、洛南、西京の順。合格者数では３位の東大寺学園がトップに立ち、５位の天王寺が進学率８・２％で１２位と、ベスト圏外になっている。合格者が多くても、卒業生に占める割合が低ければ進学率は抑えられ、反対に合格者が少なくても、卒業生に占める割合が高ければ、進学率は上がるということだ。

それでは、「京大に現役進学できる学校ランク」を詳しく見ていこう。１位の東大寺学園は、４人に１人が現役で京大に進学。東大の現役進学者も多く、卒業生の１３・０％（１３位）。２位は７年連続で合格者数ランキングトップの北野。卒業生が３１１人と多いが、同級生の５人に１人が京大に進学している。

３位の灘は、東大と京大の両方の進学者数ランクでベスト１０に入っている唯一の学校。同校の京大・医学部（医学科）の現役合格者数は１４人。全員が進学したとすると、総進学者３８人中、半数は医学部となる。

ランキング全体を見て気付くのは、公立校の健闘。東大の同じランキングでベスト１０に入ったのは日比谷（８位）のみだが、京大は北野をはじめ、西京（５位）、堀川（７位）、旭丘（１０位）の４校がランクイン。ベスト２０に広げると、天王寺や嵯峨野（１６位）など、９校が入っている。予備校関係者は言う。「近畿には学区を設けず、優秀な生徒を集めて育てる専門学科等を持つ学校が多く、京大入試で結果を出している」

大阪府立のトップ校である北野と天王寺は、もともと優秀な生徒が集まるところに、大阪府から難関大合格に力を入れるグローバルリーダーズハイスクールに選定されていることから、難関大進学率がさらに高まった。京都の学校では、西京がエンタープライジング科、堀川は探究学科群、嵯峨野は京都こすもす科を設置している。

ランキングのもう一つの特徴は、東大のように突出した現役進学率の学校がないこと。東大の現役進学率ランキングのトップは４２・３％の筑波大附駒場。対して、京大の東大寺学園は２４・２％だ。この背景にあるのは、近畿圏の学校の医学部志向の強さ。京大に受かる学力があっても、京大以外の国公立大医学部を目指す生徒が多いことが、京大の現役進学率を押し下げる一因となっている。

■井沢秀（いざわ・しげる）　大学通信情報調査・編集部部長。１９６４年２月６日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口（入試）から出口（就職）まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。