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お金は知っている 生産バブル崩壊、中国から日本企業はどう撤退するか 習主席号令、延々と続く過剰生産と過当競争「言うは易し、実行し難し」の実情

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月23日 6時30分

(夕刊フジ)

「すぐにでも撤退したいが、現地企業との合弁なので一挙にとは行かない」――。最近筆者がよく耳にする中国進出日本企業関係者の悩みである。

不動産バブル崩壊不況の底が見えない上に、習近平共産党総書記(国家主席)の号令によってもたらされている電気自動車(EV)、鉄鋼などの過剰生産、過当競争が延々と続く。企業経営者として中国事業に見切りを付け、撤退、生産縮小に踏み切るのは当然の判断だ。だが、何しろ相手は人治の独裁国家である。言うは易し、実行し難し。

焦ると足下をみられ、投下した資本設備すべてを無償で引き渡させられるのが常である。それでもまだよいほうで、合弁相手や現地従業員への補償、現地政府が一方的に補助金など各種優遇の全面返還などを突きつけてくる。中国市場からの撤退、縮小はあの手この手、時間をかけてじっくり進めざるを得ないのだ。

日銀が毎月発表する日本企業の対中直接投資データを見ればこの様子がわかる。同データは対中投資実行、回収、実行から回収を差し引いたネットに分けている。年間を合計すると、投資のピークは2022年3月で、実行額は2兆円を超え、ネットでも1兆3700億円に達していた。いずれも4月以降、急速に減り始め、23年3月にはそれぞれ6500億円、2800億円前後の水準まで落ち込んだが、以降はいずれも底這(ば)いの状況である。とりあえず踏みとどまって様子をみるしかないのだろう。

中国からの撤退の典型例は昨年の三菱自動車で、EVの過剰生産、過当競争で採算が合わなくなったためだが、事情は日本車メーカーばかりでなく、ドイツ車メーカーも、それに多くの中国企業だって同じだ。ホンダ、日産は工場の一部閉鎖に乗り出したものの、完全撤退には至っていない。

不動産バブルの崩壊が止まないのに、生産バブル崩壊まで加わってくる。その元凶は習政権の政策とそのものと言うべきである。習氏肝いりのEV、太陽電池など「新質」製品の生産増強路線は需要無視だ。莫大(ばくだい)な過剰生産物は海外にはけ口を求める。グラフは以上の状況を端的に表す。

不動産投資減とともに国内需要が萎縮する。過剰生産能力は膨らむ。新質製品はダンピング輸出するしかない。それが長続きするはずはなく、日本に限らず外資の対中投資引き上げは今後も延々と続くだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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