高梨雄平の仕事論 中継ぎの稼ぎ方 巨人・高梨雄平「いい2軸」を追い求める 「現状の持っているもので結果を出す」「満足しないでもっといい投手になる」

投げ続けていれば必ず打たれる日は来る。大事なのはそんな日をいかに少なくするか（夕刊フジ）

巨人・高梨雄平投手（32）のインタビュー連載第3回。早大卒の理論派左腕は社会人を経て楽天ドラフト9位でプロ入りすると、評価されにくい中継ぎ一筋で来季年俸は1億5000万円（推定）まで達した。自らの強みと弱みを考え抜き、居場所を見つけてきた仕事論に耳を傾けよう。　（片岡将）

――年俸1億5000万円に達した高梨投手がさらに稼ぐとしたら

「クローザーになるか、メジャーへ行くか。イニング数を伸ばしたとして3億、4億になるかって言ったらならない。1億5000が2億になっても手取りで2500万しか変わらない。先発なら10倍増もあり得る」

――自身の強みは

「中継ぎの負荷に対していかに壊れないかっていうところ。穴を開けないっていう信頼みたいなのもある。会社とかで『めっちゃ仕事できるけど、繁忙期にちょっと働いたらすぐ体調崩して休む』って、使い勝手は良くないじゃないですか。そういうのよりかは、『まあまあ働けて2徹、3徹余裕っす』みたいなヤツっていると助かる。そこを取りに行ってるんで」

――使い勝手の良さを売りに生き残る

「本当にスーパーな中継ぎがそろうんだったら、僕みたいなのは食いぶちはない。僕の話で言うと、在籍するチームは大事です。中継ぎとしては絶対に球を速くして、落ち球を持ってて、イニングが稼げてコントロールが良くて、みたいなのが絶対いいんですけど、みんながみんなそうではない。しんどさの中に、そこは入ってるんじゃないですか。自分の能力を上げていっても上位互換みたいなヤツが先発から降りてきたりする。外から獲ってきたりする。絶対に超せないヤツが入ってきたりする」

――中継ぎは指標では評価されづらい部分も

「そう、指標だけでは測れないと思います。指標はあくまで参考。防御率が2・00として18試合なら4自責点。18試合で4点取られていいとして、1―1から4試合ひっくり返されたけど他は全部抑えた選手と、1試合で4点取られるけど残り17試合抑えてる選手。同じ数字でも後者の方が安心感がある。僕は中継ぎは取られるときにまとめて取られた方がいいと思ってます。分散して取られてると安定感がない。それは意識してます」

――四球もわざと出す場合もある

「全然それはありますよね。ただ、それありますよねっていうのは、その日だけのこと。四球を出さないで勝負できる方が絶対にいい。現状の持っているもので結果を出すっていう考えと、現状に満足しないでもっといい投手になるためにっていう2軸を持つようにしています。その『いい』を追い求めるのも絶対大事なんで」　（続く）

■高梨雄平（たかなし・ゆうへい）　1992年7月13日、埼玉県川越市生まれ。川越東高、早大、JX―ENEOSを経て2016ドラフト9位で楽天入り。20年途中にトレードで巨人移籍。入団1年目から8年連続、救援のみで40試合以上に登板。通算428試合で防御率2・47。175センチ、86キロ。左投左打。来季年俸1億5000万円（推定）。