ドクター和のニッポン臨終図巻 評論家・西尾幹二さん 「ネトウヨ」に伝えたい〝真の保守〟「人間を知らなければ、さらには現実を知らなければ…」
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月11日 15時30分
自民党の歴史的大敗となった衆議院選挙が終わりました。これから日本はどこへ向かおうとしているのか、真の独立国になることはできるのだろうか……国民の誰もが不安を抱えていることでしょう。
僕は今まで「私こそ保守本流だ!」というジャーナリストに何人か会ってきました。しかし話を伺うと、ネットで仕入れたような反中・反韓ネタを熱く語るばかり。そしてアンチ石破話。安倍元総理の面影を追ってさえいれば、「保守本流」ということなのか?
きっとこの人なら、「真の保守とは、そんな単純なことではない」と答えてくれたはずです。
ドイツ思想研究者で、保守派の評論家として知られた西尾幹二さんが11月1日に都内の病院で死去されました。享年89。死因は、老衰との発表です。
ある知人から、こんな質問を受けました。
「長尾先生の本を読んでいると、老衰というのは、家で叶うものかと思っていましたが、病院で老衰と死亡診断されることも最近は増えてきたのでしょうか?」
確かに、病院では何らかの病名(心不全や多臓器不全や肺炎など)を死因として特定せねばならぬという空気がほんの10年前までは色濃くありました。しかし、今や病院も老衰死と診断することに抵抗がなくなりつつあるようです。
厚労省の死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルでは、老衰とは「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ」と定義されています。
食事を受け付けなくなり、一日のほとんどをウトウトと寝て過ごすようになったら無理に輸液をすることは、かえって本人を苦しめます。ご家族も心の準備が必要な段階です。自然死(平穏死)とは、すなわち「枯れる」こと。しかし病院の多くは「患者に何もしないで見守る」ということが難しい。ですから、もしも病院で最期を迎えたいけれど平穏死を望むというのなら、「この病院では老衰で亡くなる人はいますか」と医師に尋ねるのも手かもしれません。
平穏死された西尾さんですが、日本の未来を憂いて、心は平穏というわけにはいかなかったはず。せめて米大統領選を見届けてから旅立ってほしかったと思います。
田原総一朗氏は、Xでこんな追悼の言葉を書かれていました。
「西尾幹二さんは保守だが、右にも左にもぶれずこの国をよくしたいと思っていて僕も尊敬していた」。2019年の文春オンラインで西尾さんは、こんな発言も。
「人間を知らなければ、さらには現実を知らなければ、保守という態度は取れないでしょうね」
この国をよくしたい。そのためには人間を知り、現実を知ること――いわゆる「ネトウヨ」の皆さんに、お伝えしたい言葉です。
■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。公益財団法人日本尊厳死協会前副理事長。映画『痛くない死に方』『けったいな町医者』をはじめ、出版やインターネット配信などさまざまなメディアで長年の町医者経験を活かした医療情報を発信する傍ら、ときどき音楽ライブも行っている。
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