1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 政治

八木秀次 突破する日本 岩屋外相の訪中「ゼロ回答」でも日本からの〝土産〟多く 軽く扱われ自ら媚びた節、中国は石破政権に「日米の分断」図り

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月29日 10時0分

自公連立政権は10月の衆院選の結果、衆院では過半数に満たない少数与党に転落した。

国内基盤の弱い政権が、いかに軽く扱われるかを見せつけたのが岩屋毅外相の訪中だ。自ら媚びた節さえある。

岩屋氏は25日、就任後初めて中国を訪問し、李強首相、王毅共産党政治局員兼外相と会談した。外相の訪中は1年8カ月ぶりとなる。

会談後、岩屋氏は記者団に「来年の最も早い適切な時期」に王氏の訪日を実現し、その際に経済閣僚らが出席する「ハイレベル経済対話」を開くことで一致したと述べた。

「中国共産党の外交部門トップ・王毅政治局員兼外相の訪日が早期に実現すれば、李強首相を招いた日中韓首脳会談(サミット)の開催にも弾みとなる。その先に、石破(茂)氏の訪中や習(近平)氏の訪日も視野に入る」と朝日新聞(26日付)は解説している。

記事には、日本政府も、今回の訪中を「首脳や外相の相互訪問に向けたキックオフ」(外務省幹部)と位置付けているともある。「対話路線を徐々に軌道に乗せて一定の信頼を醸成したい考えだ。経済界でも関係改善に期待する声は根強い」との記述もある。

中国は、石破政権との間で関係改善に前向きとされる。

しかし、石破政権に取り入って「日米の分断」を図ろうとしているだけではないのか。朝日新聞は「日中歩み寄り 米新政権を警戒」との見出しを掲げている。日中で共闘してドナルド・トランプ米政権と対峙(たいじ)するとでもいうのか。警戒すべきは中国の方だ。

中国はアステラス製薬の日本人男性社員らをスパイ容疑で拘束している。9月には広東省深圳で日本人男児刺殺事件も起きた。情報開示にも応じていない。日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したと見られるブイも複数確認されている。

岩屋氏はブイについて抗議し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動活発化などに深刻な懸念を伝えたとのことだが、口だけでしかない。

東京電力福島第1原発の処理水海洋放出をめぐる日本産水産物の輸入禁止措置にも再開の合意を実施していく方針を確認しただけだ。いわば「ゼロ回答」だ。

それにも関わらず、岩屋氏は会談後、10年間有効な観光ビザを新設するなど、中国人向けのビザ発給要件を緩和すると表明した。中国側が先に日本人向け短期ビザの免除を再開したとはいえ、全体を見れば、日本からの土産の方が多い。朝貢外交のようだ。

ここには「台湾有事」への緊迫感はない。石破政権は自由社会の「柔らかい脇腹」となるのか。トランプ氏は黙っていまい。

=おわり

■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。山本七平賞選考委員など。安倍・菅内閣で首相諮問機関・教育再生実行会議の有識者委員を務めた。法務省・法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員も歴任。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください