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宮崎正弘 世界大混乱・悪の論理 〝ゾンビ経済〟中国は米国の疲弊待ち バブル崩壊でピンチも…先に転けた西側 軍はAI「ロボット犬」で得意げ映像披露

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月27日 6時30分

ジョー・バイデン大統領の米国が落ち目になると、「ゾンビ経済」の中国は幸せだろう。

不動産バブルが崩壊し、空前の経済的ピンチなのに、習近平国家主席の中国より先に西側が転けた。NATO(北大西洋条約機構)に亀裂が入り、ロシアの侵略を受けたウクライナが提唱する和平案の実現に向けたスイスでの「世界平和サミット」では何も決まらなかった。

「ウクライナが(ロシアが一方的に併合した地域から)軍を撤退させ、NATO不参加を表明すれば和平交渉の前提となる」と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にからかわれた。

中国の地方政府の表の借金は約810兆円、傘下のインフラ投資会社「融資平台」の債務残高は約1180兆円ともいわれる。この巨額に対し、中国が当面の対策に投じるのは約21兆円(昨秋に新規国債を発行)。砂漠に水をまく程度である。

米国の赤字もすごい

中国の借金もすごいが、米国の赤字は約35兆ドル(約5500兆円)。このため赤字国債を増発し、米連邦準備制度理事会(FRB)は高金利を維持して恐慌を回避してきた。ドル高は金利高が主因だから、必ずインフレを招来する。

この間に、中国は保有してきた米国債の数千億ドル分を売却していた。ジャネット・イエレン財務長官は4月、「過剰在庫」が懸念されるなどといって訪中した。実は、慌てて「米国債をこれ以上売らないで」と懇願したらしい。

過剰生産は世界経済にとって深刻な問題で、6月のイタリアでのG7(先進7カ国)首脳会議でも議題となった。

電気自動車(EV)で、中国大手BYDが、米大手テスラを抜き、欧米の手薄なアフリカ、中東に浸透させている。中国は「同盟国」のロシアにもEVを売りたいが、極寒地ではバッテリーが長持ちせず、もっと改良が必要だろう。

ドイツが焦りを見せているのは、中国で爆発的に売れてきたベンツもBMWも頭打ちで、フォルクスワーゲン(VW)は新興のEV企業と組んだが不振だという。

太陽光パネルは、中国産が世界市場の8割を独占するほどだが、行き過ぎた環境保護への反省に加え、太陽光パネルの大規模設置が土砂災害の主犯視されはじめた。欧米は中国製品に高関税をかけるので勢いを失いつつある。

「ロボット犬」で得意げ

他方、中国軍はAI搭載の軍事ロボット犬に自動小銃を背負わせて射撃する映像を披露した。上海の造船所では世界初の「ドローン空母」の建造を急いでいる。

米国が隙を見せれば、台湾侵攻の可能性は急激に高まるだろう。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『2025年トランプ劇場2・0! 世界は大激変』(ビジネス社)、『AI VS 人間の近未来』(宝島社)、『悪のススメ―国際政治、普遍の論理』(ワニブックス)など多数。

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