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阿部一二三、妹・詩の雪辱を果たし史上5人目の大会2連覇 マクロン大統領からも期待「応えられてよかった」

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月29日 11時54分

橋本梨菜(夕刊フジ)

【パリ(フランス)28日=山戸英州】

パリ五輪柔道男子66キロ級

柔道男子66キロ級決勝で2021年東京五輪王者の阿部一二三(26)=パーク24=が史上5人目となる大会2連覇を達成した。ともに五輪連覇を目指していた妹の女子52キロ級、阿部詩(24)=パーク24=がまさかの2回戦敗退。「妹の分まで頑張らないといけないと思った」と奮起した。兄の金メダルをスタンドで見届けた妹は感極まって泣き崩れた。

東京五輪で兄妹金メダルを達成してから3年。同じ目標に向かって歩んだ詩がまさかの敗退。試合後、取材対応するまでに4時間かかるほど落ち込んだが、兄の決勝ではスタンドに姿を見せた。

「4年後もう一度、一緒の舞台で金メダルを」

妹の悔しさを背負って決勝でビリアン・リマ(ブラジル)に一本勝ち。兄の思いをスタンドで受け取った詩は、勝利を見届けると号泣した。

「2人で金メダルを取って喜びたかった。妹の負けがこんなにも悔しく、つらく、苦しいのかなと。新しい目標ができた。4年後のロサンゼルス五輪ではもう一度、一緒の舞台で金メダルを取りたい」

圧倒的な強さで金メダルを獲得した一二三は、開催国フランスでも最も有名な柔道家として認知されている。

「アベ!」

「ヒフミ!」

日本から直線距離にして約9700キロ。完全アウェーのはずの会場からは地元ファンが大きな声援を飛ばし、空気は完全にホームと化した。客席には両親や昨年1月に写真誌で交際が報じられたグラビアアイドル・橋本梨菜(30)も姿を見せた。

準々決勝では2度も鼻血が止まらず「焦った~」と笑ったが、無観客だった東京五輪から一転、「これが本当の五輪。勝ててよかった」と胸をなでおろした。

「正直、これだけ認知されているとは思っていなかった。背中を押されていいパフォーマンスができたと思う」と振り返った。

マクロン大統領「頑張ってほしい」

五輪開幕前、仏のエマニュエル・マクロン大統領(46)も本紙の取材に阿部兄妹への期待を語っていた。マクロン大統領からの「頑張ってほしい!」とのメッセージを伝えると、「えっ、大統領が僕らを知ってくれていて驚きました! 期待に応えられて素直によかったと思います」と目を白黒させながら喜んだ。

モテ男だが、酒を飲んでも必ず翌朝は稽古

大エースに成長した一二三の柔道人生の分岐点は2020年12月、丸山城志郎(30)との24分の死闘を繰り広げた東京五輪代表決定戦だ。関係者は「ちょっと調子に乗っているからどこかで鼻をへし折られるのではないかと心配していたが、あの試合に勝ってから柔道選手としてのレベルが格段に上がり以降、維持している」と振り返る。

東京五輪終了後、入念にパリでの連覇実現へのロードマップを描いた。強化メニューで稽古に励み、試合の結果に一喜一憂しなくなった。オフは取っても気持ちを切らすことはなかった。

「午前中から所属先の道場に大学生を呼んで練習する。モテ男だが、酒を飲んでも必ず翌朝は稽古に励むようになった。柔道界を引っ張る自覚が芽生えた。詩も手術やモチベーション低下が著しい時期もあったが、一二三の姿を見てがんばってきた」(関係者)という。

目指すは4年後のダブル金メダル。兄妹の新たな戦いはすぐに始まる。

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