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わが社の「健康経営」 三菱ケミカルグループ(1)4分間の体操で転倒事故防止に着実な成果 「安全安心体力テスト」で転倒と関連が深い身体機能の測定も

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月27日 15時30分

片足や両足で行う体操で成果をあげている(夕刊フジ)

年を重ねても働き続けたいが、仕事中に転倒、骨折して長期の休業を要する事態を招くことがある。国内の転倒災害(業務中の転倒による災害、休業4日以上)の発生件数は年々増加傾向で、何もないところでつまずき、足がもつれて転ぶ人も少なくない。そんな転倒防止対策で成果を上げているのが三菱ケミカルグループだ。

【身体機能の向上に着目】

同社の健康経営宣言は2017年。その年に統合した3社(三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨン)の過去5年の休業災害のうち、26%を転倒災害が占めていたという。

「バリアフリーといった環境整備や、階段を上るときには手すりを持ちましょうといった転倒防止の意識向上は、これまでも行っていました。それでも転倒する人がいる。原因は足腰の身体機能に関係した人的要因にありました」と、同社人事部健康支援グループ産業医の岡本春美氏は説明する。

仕事や家事が忙しいと運動習慣は二の次になりがちだ。通勤のときも電車やバス、自家用車で座りっぱなしでは、足腰の筋力は低下する一方。疲れて反射能力も低下していると、平坦な廊下で転ぶようなことが起こる。

「身体機能は20歳をピークに低下します。バランス能力や脚の筋力、柔軟性は特に低下しやすい。安全で安心な職場づくりの一環として、17年に『三菱ケミカルグループ体操・安全安心体力テスト』を導入しました」と岡本氏。

【転倒と関連が深い身体機能を測定】

「三菱ケミカルグループ体操」は、スクワットや股関節を広げる運動など9項目の体操で成り立ち、就業時間内に4分間の動画を見ながら従業員が一斉に行う。イスに座ったまま、あるいは、スカート着用の人なども取り組める方法を紹介。海外拠点でも英語や中国語など、現地の言語で作成して展開している。

一方、「安全安心体力テスト」(JFEスチール式)は年1回実施。ペットボトルを立てた画版を持って落とさないように歩く「5メートルバランス歩行テスト」、椅子に座って片脚で立ち上がる「片脚立ちテスト」、2歩の最大歩幅計測の「2ステップテスト」によって、転倒と関連が深い身体機能を測定している。

「従業員の9割以上は体操を実施し、テストでハイリスクになった従業員には指導を行います。その結果、過去1年間の転倒経験者の割合は着実に減っています」(岡本氏)

製造・研究拠点での過去1年間の転倒経験者の割合は、18年は14%だったが、20年には10%、23年には8%にまで減少。また、「安全安心体力テスト」の危険域(評価1)の割合も年々減ったという。

「多くの方に知っていただきたいのは、たった4分の体操でも健康経営の成果は上るということです。ぜひ経営者の方に健康経営を考えていただきたいと思います」と、同社人事部全社統括産業医の真鍋憲幸氏は成果に自信を深めている。 (取材・安達純子)

【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。

■三菱ケミカルグループ株式会社 三菱ケミカルグループの経営管理(グループの全体戦略策定、資源配分など)。グループ会社552社。グループ従業員数6万6358人(2024年3月31日現在)。2005年設立。経済産業省等の「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定

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