杉山大志 エネルギーは日本の生命線だ 気候変動についての「言説」を疑え 「チューニング」された不吉なグラフ、観測・統計データは「自然災害の激甚化」示していない
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月5日 6時30分
気候変動について、大手メディアや政府が言っていることの9割はウソである。大気中のCO2(二酸化炭素)濃度が150年前に比べて1・5倍になっていて、これは人類による化石燃料の燃焼に由来する。これは本当である。過去150年間に地球の平均気温は約1度上昇した。これも大体本当である。だが、ここから先は、ウソばかりである。
台風の激甚化など一切起きていない。これは気象庁のホームページを見れば確認できる。大雨の激甚化なども起きていない。よく、「大雨が激甚化した」という報道があるが、それはいつも1980年以降のデータに基づいている。だが、それ以前はどうかと見ると、50年代と現在はほとんど変わらない。大雨は、もともと自然変動が大きいのだ。
東京都は、CO2のせいで世界の自然災害が過去50年で5倍になった、としている。だが、5倍になったのは災害の報告件数にすぎない。過去50年に世界で何があったかというと、人口が増えて経済が成長し、人間の活動領域が広がった。だから自然災害に遭う件数も増えたわけで、報告件数がそれだけ増えたのだ。5倍になったというのは経済成長の結果であり、CO2とは何の関係もない。
環境運動家は、気候変動のせいで沢山の人が死んでいるという。だが、世界のどこでも、台風などの自然災害で死ぬ人数は激減している。ダムや堤防などで防災対策が進められたからだ。
かように、観測データや統計データは、気候危機などまったく示していない。
不吉なグラフがあるとすれば、すべて数値モデルによるシミュレーションだ。だが、そのモデルは予言に使えるような代物ではない。モデルは物理法則を純粋に解いたものではなく、CO2によって気温上昇が起こると教え込まれたものだ。
教え込むことを業界用語で「チューニング」と呼び、詳しい解説論文も出ている。だがそれでも、モデルは過去の再現すらろくに出来ない。海面温度は現実の倍のスピードで上昇してしまう。こんなモデルで将来予測しても当たるはずがない。
過去150年で1度程度の気温上昇で、何一つ悪いことはなかった。今後についても、CO2による温室効果は飽和してゆくものであり、急激に地球温暖化が進むとは考えにくい。
世界には戦争、独裁、人権侵害など、重要な課題が山積している。気候変動のリスクなど取るに足らない。
(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
=おわり
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