勝者のワザ 5年ぶりのツアー2勝目もたらした地道な努力 河本結、NEC軽井沢72ゴルフトーナメント優勝 招き寄せた幸運
zakzak by夕刊フジ / 2024年8月18日 10時0分
河本結は、軽井沢でもルーティーンになったスタート前の独自練習を重ねていた。ウエッジで体慣らしを兼ねたボール打ちを10球ほどこなした後、クラブをアイアンに持ち替えてショット練習に移る。芝生に置いたボールを打つのではなく、やや高めにティーアップして打つものだ。ティーアップしたボールの下には、スティックが置かれている。このスティックに当たらないようにスイングして打つ。これは、入射角が鋭角になりすぎないように、また、レベルに振り抜けるように河本自身が考えた方法である。コーチはつけていない。いろいろ考え、自分が自身のコーチになれるように方策を練っているところがすごい。
クラブヘッドが上からボールをとらえる、いわゆるダウンブローがアイアンショットの基本ではあるのだが、このダウンブローが強くなりすぎると弾道が強くなり、タテの距離が合わなくなる危険性がでてくる。スピンコントロールもしにくくなる。
河本の練習は、打ち出し角をそろえ、タテの距離コントロールを正確にしてスイング、ショット精度を高めることを目的としている。
スティックは置かないが、同じような練習方法を取り入れている男子プロがいる。それは、先の全米シニアオープンでプレーオフ惜敗し、2位になった藤田寛之である。藤田の場合は、アイアンではなく、スプーンで高めにティーアップしてボールだけを打つ方法だ。これも目的はスイング軌道を安定させ、フェースの芯で、ボールの芯を打ち抜くための調整法で、ドライバーショットのスイング軌道をスプーンで確認しようというもの。ミート率アップと弾道の安定性向上を目的としている。
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント最終日、河本は1ボギーだけのゴルフではあったが、トーナメントリーダーに立っていた政田夢乃が最終ホールで池に打ち込むダブルボギーを叩いたことで5年ぶりのツアー2勝目が転がり込んでくる幸運な結果となった。その幸運も地道な努力が招き寄せたものだったと言ってよさそうだ。
■河本結(かわもと・ゆい) 1998年8月29日生まれ。松山市出身。両親の影響で5歳からゴルフを始め、アマ時代にツアー20試合に出場。松山聖陵高から日体大に進み、1年時の18年にTP単年登録でプロの下部ツアーで4勝。同年7月にプロテスト合格。19年アクサレディスでツアー初勝利を挙げた。20年は米ツアーに参戦した。国内ツアー通算2勝。弟の力もツアープロ。163センチ。
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