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日本美女目録 久我美子という女優 岸惠子、有馬稲子らと「女だけのプロダクション」創設し出演 久我美子の育ちの良さがにじみ出ている「あにいもうと」(1953年)

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月16日 6時30分

品の良さがにじみ出ていた(夕刊フジ)

かつてNHK大河ドラマ「いのち」(1986年)で親子役を演じた三田佳子が哀悼の意を表して、「久我さんとの共演を誇りに思います。とてもやさしい、気品のある久我さんは、私の憧れでした」と語った。

同じくNHKの山田太一ドラマシリーズ「男たちの旅路」で息子役を演じた森田健作は「気品がありながら庶民的なお芝居もできる方でした。スクリーンで見ていた方と共演できるとは想像もしていなかった」と語る。

誰もが久我の気品ある存在感に脱帽していた。侯爵家のお姫さまだけに生まれながらの気品が備わっているのは当然だ。だがそんな久我にも闘争心や反発心はあった。

かつて俳優は自分の所属する会社の作品にしか出られないという映画製作会社同士が決めた、いわゆる「五社協定」に縛られていた。

それに不満をもった岸惠子が「女だけのプロダクションを作ろう」と久我に提案。久我は「有馬稲子という有望な女優がいる」と有馬を誘い、3人で「文芸プロダクション にんじんくらぶ」を創設したのだ。

それで大映の作品である「あにいもうと」(1953年、成瀬巳喜男監督)にも出演できた。もちろん成瀬監督の強いオファーもあったという。主演は京マチ子。森雅之、浦辺粂子、船越英二らが脇を固めている。

京マチ子と森雅之の本気度満点のきょうだいゲンカが際立つ中で、久我の良い子ぶりが光る。男に裏切られても冷静で毅然(きぜん)としている。久我の育ちのよさが十分ににじみ出ている。

撮影は小田急線の鶴川駅で行われた。映画に登場する「菅間駅」は架空の駅だ。当時はまだ鶴川駅は人がまばらだったので、久我というスターの登場で混乱を起こさないために当駅を使ったと考えられる。

それにしても灯籠流しやおはぎといった小道具の使い方がうまい演出といえる。お盆で久々に一家がそろったものの兄弟姉妹で大ゲンカ。そして別々の道へ別れて帰っていくという有名なラストシーン。その後ろ姿は、また次のお盆に集まろうねといっているようで後味もさわやかな余韻が残る。

ちなみにこの映画で、田中絹代が監督見習いとして、成瀬監督についていたそうだ。 (望月苑巳)

■久我美子(くが・よしこ) 女優。1931年1月21日~2024年6月9日。93歳没。46年、第1期東宝ニューフェースに合格。同期には三船敏郎、堀雄二、伊豆肇、若山セツ子、堺左千夫らがいる。47年に映画デビュー。70年代以降はテレビ・舞台を中心に活躍してきた。

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