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日本の解き方 トランプ政権の「円高要求」を口実に利上げか 2025年、日銀の金融政策 そのとき景気回復していなければ暗転も

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月8日 6時30分

日銀の植田和男総裁(夕刊フジ)

日銀は昨年、マイナス金利の解除や利上げを行った。2025年はどのようなペースで利上げをしようとするのか。経済にどのような影響が出ると考えられるのか。

筆者は以前のコラムで、日銀は、経済に対して緩和でもなく、引き締めでもない「中立金利」を1~2・5%程度とみていると書いた。米国の連邦銀行が使っているモデルで試算すると、2%程度が本命といえる。

今の政策金利は0・25%なので、あと7回上げないといけない。しかし、今年の政策決定会合は1月23~24日、3月18~19日、4月30日~5月1日、6月16~17日、7月30~31日、9月18~19日、10月29~30日、12月18~19日の8回しかないので、25年中に達成するのはほぼ不可能だ。

となると、25年中に何回利上げするのか。植田和男総裁の任期は28年4月までで、それまで26回の政策決定会合がある。植田総裁は、金利の正常化を自分のレガシー(遺産)にしたいはずだ。任期中に中立金利まで引き上げるため、3~4回に1回の割合で利上げスケジュールを練っているのではないか。となると、25年は2回位できればいいとなる。

ここで気になるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の動きだ。米国の中立金利は3%弱程度といわれている。今の政策金利は4・5%なので、日本とは逆にあと7回ほど利下げが必要だ。政策決定会合にあたるFOMCの最近の見通しによれば、25年が2回、26年が2回、27年が1回とされている。

25年のFOMCは、1月28~29日、3月18~19日、5月6~7日、6月17~18日、7月29~30日、9月16~17日、10月28~29日、12月9~10日の8回だ。

年前半は日本の会合が先で米国が後、後半はその逆というスケジュールだ。

前述したように、米国の利下げは、25年中に2回とされている。だが、24年後半には4回、しかも、11月、12月と立て続けに行っている。

米国の動きを占うには、ドナルド・トランプ次期政権の動きも見なければいけない。トランプ政権は、円安について「近隣窮乏化」であることを正しく理解し、米国経済にはマイナスだとしている。

トランプ政権は、各国への関税攻勢の後には、おそらく為替で日本にも円安是正要求を突きつけてくるだろう。関税攻勢は短期的にはドル高要因であるからだ。

となると、25年前半には、為替は若干円安に振れ、後半に円高圧力が強まる可能性がある。

日銀としては、利上げを25年中に2回やりたいが、外圧を使って行うのが無難と考えているのではないか。となると、25年後半、日銀がFRBの後に政策決定会合を開くタイミングが狙い目だ。トランプ政権が為替に言及する段階で自己実現的に自ずとマーケットは円高方向に振れる可能性もあるが、利上げも行うのではないだろうか。

年後半に日銀はトランプ政権を口実に金融政策を実施する可能性が高い。そのときに景気が回復していればいいが、そうでないと元の木阿弥になる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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