知っておくと100倍楽しい 大河「べらぼう」キーパーソン 中村隼人が演じる「長谷川平蔵」 売れっ子花魁にのせられ親の遺産食いつぶし 若いころは〝本所の銕(てつ)〟と呼ばれ不良青年
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月25日 15時0分
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、初回から注目されているのが、長谷川平蔵(中村隼人)だ。
第1話。主人公の蔦重(横浜流星)が案内人を務める吉原に、遊び人風の男を引き連れてきた平蔵は威張っているが、着物のセンスはイマイチだし、髪もわざとらしいシケ(ほつれ髪)があったりと、遊び慣れていないことはバレバレ。カッコつけて、シケをふーっと口で吹いたりする平蔵は、蔦重に「血筋自慢のチャクチャク野郎」と見抜かれ、売れっ子花魁・花の井(小芝風花)との仲を取り持つと乗せられて、大散財させられる。
第2話では、花の井が好むのは「江戸っ子」「向こう見ず」「一番なじんた男は初回から紙花をまいた」と聞かされ、1枚2万円ほどに換金できる桃色の紙花を大量にばらまく羽目に。第3話では、蔦重が作る本のトップを飾るためには50両の「入銀」が必要だと花の井にすり寄られ、工面する。その結果、平蔵は親の遺産を使い果たし、吉原にも来られなくなってしまった。
ご存じ長谷川平蔵といえば、「鬼平犯科帳」シリーズでも知られるように火付盗賊改方長官として、江戸の悪を厳しく取り締まった人物。だが、若いころは〝本所の銕(てつ)〟(銕三郎)と呼ばれ、結構な不良青年だった。だからこそ、盗賊など裏社会や弱い者たちの心を知る「お頭」として慕われたとも言われる。
「べらぼう」では、平蔵が用意した50両は吉原の最下層の女郎たちの飯代となり、本人が知らないところで人助けとなっていた。
蔦重は、重商主義の田沼意次(渡辺謙)が広めた自由な空気の中で、版元としてヒットを出すが、田沼失脚後、出版や封獄の統制をした老中松平定信の「寛政の改革」により、手鎖りの刑や財産没収など厳しい処分を受ける。火付盗賊改方となった平蔵の後ろ盾が他ならぬ松平定信(寺田心)なのだ。
隼人の大叔父は80~82年に「鬼平犯科帳」に主演した萬屋錦之介。どんな平蔵に成長するのか。時代の空気がガラリと変わる中で、蔦重と平蔵の関わりは晩年まで続くのかも気になる。 =おわり
(時代劇研究家・ペリー荻野)
■べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 1月5日にスタートしたNHK大河ドラマ第64作。脚本は「JIN―仁―」(TBS系)や「ごちそうさん」(NHK)を手がけた森下佳子。
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