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東日本大震災から13年半 忘れない、立ち止まらない 「巨大地震注意」でコメが消えた 買い込み需要による混乱 非常時の争いを防ぐ「ローリングストック」の意識浸透を

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月10日 6時30分

米が品薄となったスーパーの売り場。日常的に備えていないと、いざとなってから品物不足に直面することになる(夕刊フジ)

宮崎県で8月8日に震度6弱の地震が発生し、気象庁から初となる「南海トラフ地震臨時情報」が発表された。

南海トラフ沿いで強い地震が観測された場合に同臨時情報が出され、調査が始まる。専門家による評価検討会の後、最短2時間で「調査終了」となるか、「巨大地震警戒」または「巨大地震注意」が発表される。

今回は「巨大地震注意」―つまり、〝1週間は大地震発生に留意しながら備えを確認し直しましょう〟と喚起されたわけだ。

幸い、何事もなく1カ月が経過した。だが、南海トラフ巨大地震は遅かれ早かれ、いつか必ず起こる。その〝いつか〟は遠い将来ではなく〝明日かあさってか、いやこのすぐ直後かもしれない〟という危機感を、これで初めて認識させられた人も少なくないだろう。

今回は、日頃からの備えがどれほど大切か―そして、それを実行できている人がまだまだ足りていないということが、はっきり可視化されたと言っていい。

臨時情報の発表直後、小紙(東海新報)のコラムで、「いざ事が起こるかもしれないとなってから焦り始めると、必要以上の買い占めが起きて品薄になったり、悪質な転売屋に飛びつかざるをえないといったことが起きる」と書いた。

果たして、世間はそれに近い状態となってしまった。

小売店の店頭からペットボトルの水や米が消え、ネットではそれらが高額で転売されるなど、各地で「買い込み需要」による混乱が生じた。こうしたパニックに陥らないためにも、平時の意識と備えこそ欠かせないのである。

詩人で書家の相田みつをさんの詩の一節、「うばい合えば足りぬ 分け合えばあまる」を、改めて心に刻みたい。

物品の絶対数は足りているのに、誰かが一気に独占すれば皆には行き渡らなくなる。けれど一人一人が、普段の買い物にプラスアルファする形で備蓄を進めれば、ある日突然、店頭から商品が消えるということは起きにくい。

日常的に食べるものを賞味期限に合わせて消費し、また少しずつ買い足していく「ローリングストック」の意識が、これを機により浸透することを願う。

また今回は「真夏に停電・断水状態で避難生活を余儀なくされたら?」という恐怖も想像できたはずだ。

寒さを想定した対策はしていても、酷暑への備えは案外抜け落ちているものである。熱中症対策用品やハンディファンなども持ち出し袋に加えたい。

相田さんの詩は、「うばい合えばあらそい 分け合えばやすらぎ うばい合えばにくしみ 分け合えば喜び うばい合えば不満 分け合えば感謝」と続く。現実に災害が起きたときに恐ろしいのは、疑心暗鬼や余裕のなさから生まれる群集心理だ。非常時の無用な争いを防ぐためには、平時から〝奪い合い〟をせぬ心がけが必要だ。

■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大学卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。震災時、記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当。現在は、同社社長。

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