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ニュースの核心 失望した岸田首相の広島・平和記念式典あいさつ 相手を思いやれば、戦争は起きないのか 勝手な思い込みに基づく主張ばかり

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月9日 15時0分

広島に原爆が投下されて79年。広島市で6日、平和記念式典が開かれ、松井一実市長が平和宣言を発表し、広島県の湯崎英彦知事と、岸田文雄首相がそれぞれあいさつした。

問題は、その中身だ。

どれも期待と願望、勝手な思い込みに基づく主張ばかりで、「これでは、とても日本の平和は達成できない」と言わざるを得ない。

松井市長は「争いを生み出す疑心暗鬼を消し去るために、市民社会が起こすべき行動は、他者を思いやる気持ちを持って交流し対話することで『信頼の輪』を育み、日常生活の中で実感できる『安心の輪』を国境を越えて広めていくことだ」などと訴えた。

イスラム過激派、ハマスのイスラエルに対するテロはなぜ、起きたのか。ハマスや背後に控えたイランは、彼らの憲法で「イスラエルとユダヤ人を地上から抹消する」ことを目的に掲げている。そのために「殉教すれば天国に行ける」と信じている。

イスラエルも相手をイスラエルの地から追い出そうとしている。そんな両者に「相手を信頼せよ」と言うのは、美しいが、日本人の思い上がりではないのか。

ロシアによるウクライナ侵攻は、確かに疑心暗鬼が招いた側面がある。北大西洋条約機構(NATO)が東に拡大し、隣のウクライナまで加盟しそうになった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「国家の生存に関わる脅威」と感じ、先制攻撃した。

だからといって、「ロシアを思いやれば、良かったか」と言えば、そう単純な話でもない。西側には「自由と民主主義を広める」という大義名分があったのだ。

国家が衝突する背景には、双方が信じる正義がある。それは市民社会でも同じだ。いま世界で「包摂、平等、多様性」が叫ばれ、日本にも多くの外国人が流入している。

だが、英国では少女3人の刺殺事件をきっかけに、イスラム系住民と白人住民の間で暴動が起きている。「信頼の輪を育め」というのは簡単だが、英国はじめ欧州各国の多文化共生政策が失敗したのは、明らかだろう。

湯崎知事は「核兵器維持増強の10分の1の1・4兆円や数千人の専門家を投入すれば、核廃絶も具体的に大きく前進する」と語った。

だが、世界が核抑止に依存しているのは、核廃絶に資金や技術の制約があるからではない。相手に核を使わせないために、相手を完全に破壊できるだけの反撃能力を備えているのだ。それは「国家の意思」でもある。

岸田首相は「非核3原則を堅持して『核兵器のない世界』の実現に向けて努力を着実に積み重ねていく」と力説した。だが、その原則を打ち出した佐藤栄作首相(当時)でさえ、米政府に宛てた公電で「非核3原則はナンセンス」と認識していたことをご存じなのだろうか。米公文書で明らかになっている史実だ。

日本のマスコミは、これらの宣言やあいさつを大々的に全文報道した。まるで「批判はタブー」であるかのようだ。

ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は昨年5月、英エコノミスト誌のインタビューで「日本は5年以内に核保有する」と語った。この発言を機に、米国では、日本の核武装問題が真剣に議論されるようになった。

日本の核武装は安全保障の米国依存から脱して、日本が自立する道だ。日本人は8月を、安全保障を現実的に見直す季節にしなければならない。 (ジャーナリスト・長谷川幸洋)

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