深層韓国 退職金元手に次々開業、すでに飽和状態超えたカフェ・チキン・コンビニ店舗数 やがて世にあふれる「悲惨な脱落者」たち
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月5日 6時30分
「没落した中産階層」が韓国で漸増している。大手企業を退職後、カフェ、チキンのから揚げ屋、コンビニエンスストアなどのオーナー経営者になったものの、過当競争に堪えられなかった「悲惨な脱落者」たちだ。彼らは今後、どんな政治を志向するのか―韓国政治の一つの変数だ。
韓国統計庁が最近公表した資料により、カフェが2023年末に10万店を超えたことが明らかになった。韓国語で「カフェ」という場合は「コーヒー専門店」の意味が込められているが、実態は日本の喫茶店と変わらない。
日本の喫茶店数は21年、経済センサスによると、約5万9000店だった。韓国の人口は約5000万人、日本の約4割だ。韓国人がどれほどコーヒー好きでも、これは「飽和」と呼べる状況を、すでに超えている。
チキンのから揚げ屋の店舗数も、カフェとほぼ同じレベルにある。韓国人がいくらチキン好きだとしても…。
コンビニエンスストアは日本とほぼ同じ店舗数だ。だから、店舗当たりの業容が、日本の4割を上回ることはないだろう。
この〝カ・チキ・コン(=カフェ、チキンのから揚げ屋、コンビニ)〟の異様な店舗数増加は、韓国の大手企業の退職慣行と、肩書を求める伝統的文化によるところが大きい。
韓国の大手財閥系企業では、50歳が近付いたら〝肩たたき〟が始まる。大卒社員の圧倒的多数は50歳代になったら早々に退社する―それを大前提に、給与体系が決まっている。だから、法定定年が何歳になろうと、実態は容易に動かせないのだ。
退社した人間の大部分は、中小企業に流れる。が、大企業ならではの、ちょっと高額な退職金を元手に「一旗揚げよう」とする人が少なからずいる。
コンビニの創業には、それなりの資金力が必要だ。しかし、カフェやチキン屋なら退職金の一部でできる。さしたる技術も必要ない。法人登録をすれば、従業員がいなくたって、堂々と「社長」と名乗れる。彼らにとっては、とても誇らしいことだ。
〝カ・チキ・コン〟は次々と開店してきた。だから、自分だって、そこそこ食いつないでいけるはずだ。うまくいったら複数の店舗を持ち…そう思い込んで始めるのだろう。
カフェとチキン屋の実態は、3年ほどで大部分が廃業、新たな参入者がそこを埋めるパターンの繰り返しだった。ところが、ここ数年、新たな参入者が急速に拡大している。カフェは6年で2倍に増えた。
「悲惨な脱落者」が、ほどなく世にあふれる。(室谷克実)
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