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マネー秘宝館 牛丼値下げ…はがき値上げの〝勝者〟は 吉野家、すき家、松屋が期間限定300円台に 成功のカギ握る低価格&高価格戦略の2極化

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月16日 6時30分

期間限定でもうれしい〝逆張り〟値下げ(夕刊フジ)

吉野家、すき家、松屋の牛丼大手が「値下げ」を発表し、期間限定ながら3社そろって牛丼が300円台になりました。ここのところコスト高に伴う値上げや深夜料金の導入のニュースばかりでしたので、この値下げには何だか懐かしさを感じます。

日本を代表するファストフード牛丼店には外国人旅行客の姿も目立ちます。母国のインフレに苦しむ彼らからすれば、円安プラス牛丼値下げのハイパー低価格で、あの味が楽しめるのはすごくハッピーでしょうね。

今回の期間限定値下げを見て感じますが、改めて牛丼3社は「うまい・早い・安い」を追求する庶民の味方スタンスのようです。世の中がコスト高による価格転嫁高価格に進んでいるからこそ、逆張りの値下げで顧客を呼ぶ作戦ですね。これだけ方針が明確だとファン顧客もしっかり付いてきてくれると思います(ちなみに私も大好きです)。

心配なのが、切手、はがきなど郵便料金の値上げ。値上げする事情は痛いほど分かるんですよ。でも、手紙やはがきがライバルのメールに置きかえられているこの状況で値上げはどうなんでしょう?

かつてアメリカ製造業のエースだった自動車産業、20世紀後半になって日本車にシェアを奪われて売れなくなったとき「値上げ」しました。この「ライバルにやられて売れないから値上げ」の一手が痛恨の失敗となり、さらに売り上げを減らすことになったのです。今回の郵便料金値上げはそれを彷彿とさせます。これが私の思い違いであればいいのですが。

さて、牛丼と同じく外食産業、ファミレス大手のすかいらーく。一時期の出店ラッシュで業績が悪化、2006年に投資ファンドの支援を受けて非上場化しました。その後はファンドの協力を得ながら経営を立て直し、コロナ禍を経て業績は回復傾向にあります。

その回復を支えているのが低価格路線と高価格路線の2極化作戦です。一方でジョナサン、ガスト、バーミヤンといった学生でも行ける低価格店舗を展開しながら、最近では高価格のペルティカ、むさしの森珈琲などの高価格店舗を出店しています。

このような「低価格と高価格の2極化」は、ビジネスのトレンドというか、成功のカギになりそうです。かつて100円バーガーという思いきった低価格化をやったマクドナルドも、現在はハンバーガー、チーズバーガーのような低価格と、期間限定の月見バーガー、サムライマックなど高価格の「価格2極化」を行っています。

大手外食産業だけではありません。サービス業でも無料・低価格と有料・高価格の2つを用意して、前者から後者への誘導を行うフリーミアム戦略などが一般的になってきました。いまや零細サービス業でも「低価格サービス」と「高価格サービス」の2つを用意しています。これからは低価格と高価格の組み合わせが必須かもしれません。まずは自らの価格に哲学をもつこと。「流されて値上げ・値下げ」だけは禁物ですぞ。

■田中靖浩(たなか・やすひろ) 公認会計士、作家。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て独立開業。会計・経営・歴史分野の執筆・講師、経営コンサルティングなど堅めの仕事から、落語家・講談師との共演、絵本・児童書を手掛けるなど幅広くポップに活躍中。「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)などヒット作多数。

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