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ニュース裏表 峯村健司 〝対中強硬〟アップデートの「トランプ2・0」 新政権は国務長官にルビオ氏、国家安全保障担当補佐官にウォルツ氏と鮮明の布陣

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月16日 10時0分

トランプ次期大統領(左)と、ルビオ上院議員(AP)(夕刊フジ)

「私たちは勝った! 本当によくやった」

大統領選の勝利後、初めて首都ワシントン入りしたドナルド・トランプ次期大統領は13日、共和党下院議員団を前に力強く演説した。

大統領選と同時に実施された連邦議会選で、上院に続き、下院でも共和党が多数派となるのが確実になった。そして、司法の最終判断を示す連邦最高裁も、共和党に近い保守系が過半を占める。

2025年1月に発足するトランプ次期政権は、行政に加え、立法の上下院、司法の4つの権力で優勢となった「クアドラプル・レッド」の状態でスタートする。トランプ氏は誰からも邪魔されることなく、人事や政策を意のままに決めることができるようになったことを意味する。

さっそく、トランプ氏は新政権の閣僚や高官を次々と指名している。その顔ぶれから、新政権の政策の輪郭が少しずつ明らかになっている。

最も重要な国務長官には、マルコ・ルビオ上院議員(53)を指名した。キューバ移民の両親の下に生まれ、就任すれば初のヒスパニック系国務長官となる。16年の大統領選では、共和党主流派としてトランプ氏と争ったこともある共和党の実力者だ。

筆者は、ルビオ氏やそのスタッフと意見交換をしたことがある。ひと言でいうと、「筋金入りの対中強硬派」だ。中国の共産党体制そのものの存在を批判しており、中国との対立を「文明の衝突」とみなしていることが特徴といえる。

これは、政治や経済上にとどまらず、イデオロギーや人種といった幅広い分野に及ぶことを意味している。9月の米紙ワシントン・ポストへの寄稿では、中国について「米国が直面した中で、最大かつ最先端の敵国」と定義している。

こうした言質を裏付けるように、ルビオ氏は数々の対中制裁にかかわる法案づくりを積極的に進めてきた。中国・新疆ウイグル自治区における強制労働に関係した製品の輸入を原則禁じる「ウイグル強制労働法」や、香港の人権や民主主義を後押しする「香港人権・民主主義法」などが挙げられる。

これに対して、中国は強く反発し、ルビオ氏の入国を禁止する制裁を科している。

中国の制裁対象となっているルビオ氏を外交責任者に任命したことは、トランプ氏の「対中強硬路線」が揺るがないことを示している。

ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官にマイケル・ウォルツ下院議員の起用が検討されている。ウォルツ氏はグリーンベレー(陸軍特殊部隊)出身で、やはり「対中強硬派」と目されている。「トランプ2・0」は、1期目よりも対中強硬路線をとることを鮮明にした布陣となる。米中対立のはざまに位置する日本の政府や企業は、これから難しいかじ取りが迫られそうだ。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司)

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