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椎名誠の街談巷語 危なくてハラハラ、公道の観光ゴーカートは止めてロボット駕籠屋はどうか? イメージ重なる…赤木圭一郎さんの撮影所での事故

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月15日 11時0分

前を見て運転して! 公道でのゴーカートは、見ていて怖い(写真と本文は関係ありません。一部画像処理をしています)(夕刊フジ)

ひところから外国人旅行者らしい人々が、ゴーカートみたいなのに乗ってそこらの道をキャッホーなんていって走り抜けていく姿を見るようになった。ぼくは渋谷の下町に住んでいるから、ああいうのがとくに多かったようだ。

陽気に行列をつくって走っているのを見て「よかったね」とやさしい気持ちになっていたが、ときに危ない場面も見た。

自転車に乗った日本のお母さんが前と後ろに子供を乗せて颯爽と走ってくるのを見るときなんかだ。あれ、見ていてこわいよなあ。でも日本のお母さんは勇敢だから、よっこらしょうとさして信号も確かめずに路地から大通りに出てしまったりしている。

ゴーカート連中が日本のそういう風習をどのくらい理解しているのか、そんな風景に出会うたびに不安になる。

カートにのったドンパチ野郎が何か食いながらやってきてそういう自転車の子供らに「ウイー」なんてそれをヒラヒラさせると、それを見て日本のよい子も手を振っているが、あぶないっつーの。ちょうど舗装の悪いところで自転車が大きくバウンドしたらどーすんだ。自転車倒れる。ゴーカートは行ってしまう。どーすんだ。

だからあの観光ゴーカートを見るようになってから、街を歩いていても落ちつかなかった。

ぼくが青少年の頃、日活撮影所でアイドルスターの赤木圭一郎さんが撮影所でゴーカートに乗って激突して亡くなる、という事故があった。その頃のゴーカートと今のそれは全く構造もなにも違うのだろうが、イメージは重なる。いまのアレの運転免許証はどうなっているんだろうか。事故その他の保険はどうなっているんだろうか。

もっと確実で安全な遊覧装置はないかと考えていたら、ありました。人力車よりも、もっとヒトメをひいて印象深い「駕籠」である。あの、前と後ろに担ぎやさんがいて「エッホウ」「エッホウ」と担いでいってくれるやつ。おさるが担ぐんじゃなくてロボットがやってくれるのはどうだろう。二十一世紀の日本のテクノロジーだったらそんなもの簡単に作れるでしょう。

駕籠は簡単な辻駕籠から、大名が乗ってるみたいな漆塗りのたいそうな奴まで用意する。

外国人相手が主力になるだろうから、彼らが好みそうな、横に並んですわれるような「ワイド横並び版」というのも作りましょうね。機械が担ぐんだからそのくらいの重量過多もどうってことない。

希望によっては三味線を持ったロボットの芸者さんなんかも乗っている。それでもって大江戸八百八町から箱根八里くらいは行ってしまう。こういうのは乗るほうもタイヘンだから、休憩用とか食事用の御馳走を乗せた籠があとについてくるから、たちまち大名行列になってしまうのだ。

あれ、空想で悪のりしました。すいません。

■椎名誠(しいな・まこと) 1944年東京都生まれ。作家。著書多数。最新刊は、『思えばたくさん呑んできた』(草思社)、『続 失踪願望。 さらば友よ編』(集英社)、『サヨナラどーだ!の雑魚釣り隊』(小学館)、『机の上の動物園』(産業編集センター)、『おなかがすいたハラペコだ。④月夜にはねるフライパン』(新日本出版社)。公式インターネットミュージアム「椎名誠 旅する文学館」は https://www.shiina-tabi-bungakukan.com

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