ノマドの窓~渡る世間はネタばかり~ 図書館の〝こども本コーナー〟は宝島 伝記本や児童向け落語指南書など「こんなところにこんな本が!」思わぬ拾い物をすることも
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月6日 15時30分
僕は週に少なくとも3日間、図書館で過ごす。フリーランスのノマドなので、会議のために指定された場所に行くことや現場仕事がない限りは、図書館の閲覧席が仕事場だからだ。(うちに書斎があればそこで仕事をすればいいのだが、書斎というスペースをもうかなり前に断捨離した)
さて今回は「図書館にはあまり知られていない宝島がありますよ」という報告。規模の大小に限らず、図書館の作りは大抵同じで、まず貸し出し&返却カウンターがあり、入ってすぐ新聞・雑誌を自由に閲覧できるフリースペースになっている。あとは、純粋な読書&勉強するためのデスクエリアと、こども本のコーナーだ。大きな図書館なら加えて、資料倉庫、読み聞かせ室、カフェなどが備えられているだろう。
この中で注目すべきなのが「こども本コーナー」だ。幼いお子さんをお持ちの親御さんなら、よく利用されるはず。そこにはフリースペースがあって、親子で絵本を楽しむ姿や、子供たち自身が読みたい絵本を何冊も抱えて貸し出しカウンターに行く様子もほほえましい。
では、大人ひとりで行ったときに「こども本コーナー」に入って、何か面白そうな本はないかと探す人はどれぐらい居るだろうか? 資料としてどうしても必要な場合は別として、普通は行かないのではないか。
ここで僕は「こども本コーナーに行こう!」と声を大にしてお勧めしたい。
児童向けだから大人には幼稚と思い込んでいないだろうか。いやいや、幼児のためのものだけではないんです。小学生・中学生向けのものも豊富にそろっていて「こんなところにこんな本が!」と思わぬ拾い物をすることがある。
例えば、今回の大統領選を前に、カマラ・ハリスに関してサクッと読める本はないかと、館内にある検索機で見つけたのが『カマラ・ハリス物語』。所蔵棚が書かれた紙を手にたどり着いたのは「こども本コーナー」の一角だった。
そこには、津田梅子、野口聡一、マーティン・ルーサー・キング牧師らのコンパクトにまとまった伝記本が並んでいた。
伝統芸能に関するものも充実していて、見つけて即借りたのが『春風亭一之輔のおもしろ落語入門』と『桂米團治のみんなが元気になる上方落語入門』だ。特に後者は、一冊使って、米團治が落語「つる」の演じ方を写真入りで解説・指導するという非常に貴重な内容になっていて、こども本コーナーに行かなかったら出合えなかった。
図書館のこども本コーナーは宝島、ぜひ一度上陸を。 (火曜日掲載)
■東野ひろあき(ひがしの・ひろあき) 1959年大阪生まれ、東京在住。テレビ・ラジオの企画・構成(FM大阪「森高千里ララサンシャインレディオ」)、舞台脚本(「12人のおかしな大阪人」)やコンサート演出(松平健とコロッケ「エンタメ魂」)、ライブ企画・構成(「小室等de音楽祭」)、コメディ研究(著書『モンティ・パイソン関西風味』など)。猫とボブ・ディランをこよなく愛するノマド。
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