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石破政権「机上の空論」国家安全保障最前線 同盟国に不信感与えた石破首相の寄稿文 総裁選期間中に米シンクタンクで発表 問題点満載、疑われる安全保障への「机上の空論」

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月16日 6時30分

石破首相の寄稿文が、米国やアジア諸国に不信感を広げているという(夕刊フジ)

現在、国内外が混沌(こんとん)とした状況にある。

ロシアのウクライナ侵略が継続し、中東ではイスラエル・ハマス戦争が1年経過しても終結せず、イスラム原理主義組織ハマスのみならず、イランや親イラン民兵組織ヒズボラとの紛争に拡大している。中国は「台湾武力統一」を放棄していない。権威主義国の中国やロシアは、わが国の領空・領海を侵犯している。まさにわれわれは激動の時代を生きている。

国内においては、岸田文雄政権から石破茂政権への交代があった。3年間続いた岸田政権を批判する人は多いが、私は安全保障分野における同政権の功績を高く評価している。国家安全保障戦略などの「安全保障3文書の策定」や、「防衛費のGDP(国内総生産)比2%への増額」への道筋をつけた、日米関係を最良の状態にしたことは特筆すべきことだ。

岸田政権を引き継いだ石破政権には、激動の時代における国家運営、特に安全保障分野のかじ取りを適切に行ってもらいたいと思う。

しかし、石破首相に不安を感じている。

石破首相が総裁選の期間中、米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページで発表した「日本の外交政策の将来」と題する寄稿文は問題点満載で、安全保障に関する見識が疑われる文書であるからだ。この不用意に公開された寄稿文が、米国やアジアの諸国に石破首相に対する不信感を与えた。「覆水盆に返らず」とはまさにこのことだ。

石破寄稿文には、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設」「対等な普通の国同士としての『日米安全保障条約の改定』『日米地位協定の改定』」「国家安全保障基本法の制定」「米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)に準ずる防災省の設置」「米国の核シェアや核の持ち込みの具体的な検討」「自衛隊のグアム駐留」などが提案されている。

これらは「机上の空論」だ。

例えば、対等な普通の国同士としての「日米安全保障条約の改定」「日米地位協定の改定」「米国の核シェアや核の持ち込みの具体的な検討」は、米国の反発を受けるだけだ。国内外情勢が厳しい状況下において最優先の課題ではない。ましてや、「アジア版NATOの創設」「米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)に準ずる防災省の設置」「自衛隊のグアム駐留」などは、まさに非現実的な議論だ。

幸いにも、石破首相は所信表明演説(4日)では、「アジア版NATOの創設」「日米地位協定の改定」などには触れなかった。これは賢明だった。

いずれにせよ、石破首相が優先すべきは憲法改正を行い、集団的自衛権の問題を完全に解決することだ。この集中連載においては、激動の時代における「現実論」と「机上の空論」について記述したい。

■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『日本はすでに戦時下にある』(ワニブックス)、『宇宙安全保障』(育鵬社)、『台湾有事と日本の安全保障』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

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