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テレビ用語の基礎知識 テレビ東京がやめてしまった「警察密着」番組 韓国取材で感じた人間観察の面白さ…ぜひ、なくさないでほしいなあ

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月13日 11時0分

(夕刊フジ)

テレビ東京さんが警察密着番組をもうやらないそうですね。コンプラチェックが難しいので無理もないけど、他局までやめないことを願います。

というのも、私個人的には、警察密着番組はいろいろと関わってきて思い入れが深いのです。

貴重な経験として、韓国ソウルの警察に長期密着したことがあります。外国メディアに許可されるのは、なかなか異例。

しかも、江南警察署、永登浦警察署、広域捜査隊、麻薬捜査隊、機動隊、警察特攻隊(特殊部隊)、鉄道警察、駅三地区隊など、ほぼオールスターキャストに密着しました。

当時、交渉にあたってくれた韓国人コーディネーターさんには本当に頭が下がります。

あの頃はまだ韓国語もそんなに分からなかったのに、毎日小さなカメラを持ってパトカーと一緒に出動して、一日中グルグル街中を走り回ります。共に取材をしていた先輩は、取材に行くと事件・事故が何も起きないので「天使」というあだ名をつけられていた人で、マジで来る日も来る日も何も起きない。だから結構つらかった。

でも言葉ができないのにお巡りさんたちと仲良くなってきたり、日本と韓国の警察の違いが分かってとても面白かった。たとえば韓国ではパトカーが緊急出動する時もそんなにサイレンをガンガン鳴らしません。もちろん事件の質によるんでしょうが、ちょっとした出動だと信号待ちもちゃんとしているし、サイレンも鳴らしたり消したり、でした。

あと、機動隊には「義務警察」といって、徴兵で軍隊に行く代わりに警察に来ている若い警察官がたくさんいて、彼らのデモ隊取り締まりはなかなか面白かったです。

そして酔っぱらいが最高に面白かった。街中でけんかして地区隊に連れてこられて事情聴取を受けるわけですが、いろいろ言い訳したり泣き落とししたり…、日本の酔っぱらいより激しくて「画になる」感じでした。

容疑者を逮捕するときの警察官もかなりカッコよかったです。いまでも韓国ドラマで警察が出てくると「あ、この部署取材したな」とか「こんな刑事さんいたな」と懐かしさと親近感を感じてしまいますね。本当にいい経験をさせてもらいました。

なんだか単なる思い出話ですみません。でも、警察密着の面白さって人間観察の面白さだと思うんです。結局一番面白いのは「酔っぱらい」と「交通違反して言い訳する人」ではないかと。

人間のダメな部分と人情を感じられる、人間臭い警察密着番組を、ぜひ、なくさないでほしいなあ、と思います。

■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。

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