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迎撃不可能、ウクライナに最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」発射 プーチン大統領に焦り「トランプ復帰までに決着狙いか」

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月24日 10時0分

ロシア軍の攻撃を受けて光るウクライナ東部ドニプロの空=21日(ウクライナ非常事態庁提供・AP)(夕刊フジ)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日、ウクライナ東部ドニプロのミサイル製造施設を極超音速の最新式中距離弾道ミサイルで攻撃したと明らかにした。ほかにも北朝鮮兵をウクライナの前線に投入し、核兵器使用の条件の範囲を拡大するなど戦局を一気に激化させている。約2カ月後のドナルド・トランプ次期米大統領の返り咲きを控え、焦りの色もうかがえる。

プーチン氏は、迎撃が不可能とされるマッハ10(音速の10倍)の極超音速ミサイル「オレシニク」を発射したと明らかにした。ウクライナ側が米国製の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」や、英国製の空中発射型巡航ミサイル「ストームシャドー」を用い、ロシア領内の軍事標的を攻撃したことへの報復措置だとし、「ウクライナの地域紛争はグローバルな性格を帯びることになった」と欧米を強く非難した。

ロシアはなぜここにきて攻撃のギアを上げたのか。ロシアの外交・安全保障に詳しい笹川平和財団の畔蒜(あびる)泰助上席研究員は「ジョー・バイデン政権がウクライナに長射程ミサイルを使ったロシアへの越境攻撃を容認したのは、ウクライナ支援を停止する可能性もあるトランプ次期政権を牽制(けんせい)する意図があるかもしれない。ロシア側は重要な戦略アセット(資源)を越境攻撃を受けても届かない場所に移動したと分析されているが、エスカレーションの今後はまだ見えない」と指摘する。

ロシアはまた、「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)を改定し、巡航ミサイルや無人機の大規模発射の確度が高い情報を得た場合も核兵器使用の条件とした。

トランプ次期大統領はウクライナの停戦を公言している。和平交渉の前には少しでも優位な条件を得るため戦闘が激しくなるのは世の常だ。

プーチン氏の狙いについて筑波大学の中村逸郎名誉教授は「核使用の条件を変更したのは、ウクライナの首都周辺への大規模攻撃を仕掛ける可能性もあることを意味する。その後は米国やNATO(北大西洋条約機構)も視野に入れるというメッセージだ。いずれにせよ、バイデン政権のうちに何らかの決着を付けたいという狙いがうかがえる」と指摘した。

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