ニュースの核心 米大統領選最終盤 トランプ氏優勢、数字のウラに「隠れ支持者」も ハリス氏、激戦7州で勢いに陰り 石破首相の「もしトラ」対応に大不安
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月3日 10時0分
世論調査に対して、「トランプ支持」と答えたくない「隠れトランプ」の層が数字に反映されにくいためだ。そうだとすると、実際はもっと支持が多い可能性もある。
数々のスキャンダル報道にもかかわらず、トランプ氏が支持を集める理由は何か。
石破首相「アジア版NATO」「日米地位協定の改定」で厳しい立場
米国の報道を見る限り、私は「トランプ氏を好きなわけではないが、不法移民の流入やインフレはもっと困る」という有権者が多いからだ、とみる。有権者は醜聞よりも、もっと身近で切実な問題に不安を感じているのである。
いまの米国は、候補者の資質にかまっていられないほど、国内の脅威が現実になりつつある、と言ってもいい。実際、不法移民はバイデン政権下で急増した。ハリス陣営も実態を無視できず、移民対策の強化を打ち出しているが、トランプ氏の政権批判には対抗できていない。
インフレも大きな要素だ。
米国滞在中の私は、ほとんど外食しているが、ファストフードの韓国料理でも1回4000円ほどかかる。流通大手は祝日に格安の食事セットを提供するテレビ・コマーシャルを流している。
富豪が経営する米紙ワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムズは最近、異例にも「支持候補なし」の方針を打ち出し、ハリス陣営を支持してきた編集者が辞職する騒ぎが起きた。トランプ優勢を見極めた結果かもしれない。
もしも、トランプ氏が勝利すれば、自民党総裁選で「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設」や、「日米地位協定の改定」を訴えた石破首相は難しい立場に立たされる。
「そんな話をしたいなら、まず日本が憲法改正をしたらどうだ」とトランプ氏に逆襲されるのは必至だからだ。石破首相に、そんな心の準備があったとは思えない。
いよいよ、「トランプ復活」が現実味を帯びている。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。
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