わが社の「健康経営」 花王(2)メタボ改善に向けたプロジェクトが成果 食事法「スマート和食」提唱、専用歩行計「ホコタッチ」開発でデータを〝見える化〟
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 15時30分
心筋梗塞や脳卒中のリスクを上げるメタボリックシンドロームは、内臓脂肪に加え、高血圧・高血糖・脂質異常症のいずれか2項目以上に該当すると診断される。国内の男性でメタボが強く疑われるのは約28%、予備軍と考えられるのは約24%(厚労省2019年「国民健康・栄養調査」)。男性の半数以上はメタボとその予備軍。改善に向けて花王のプロジェクトが成果を上げている。
【内臓脂肪マイナス10平方センチメートル減】
同社は、健康経営(別項)の一環として、「測る」「食べる」「歩く」の3分野に重点を置き、社内の調査やデータ分析、技術革新によって、新しいプログラムを開発した。そのひとつが食事法の「スマート和食」。
「ポイントは、①脂質を減らしてタンパク質を増やす、②脂質をとるならオメガ3、③糖質をとなるなら食物繊維を一緒にとる。この3つの栄養バランスを考えた食事法です。社内で2014年に実践し、従業員の評判がよく、実際に内臓脂肪の減少にもつながっています」と、同社人財戦略部門健康開発推進部長の守谷祐子氏は説明する。
花王本社従業員での検証では、3カ月後に内臓脂肪が10平方センチメートル減少。LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪も減り、高血糖も改善したという。
「食材とメニューの組み合わせを変えるだけで、『スマート和食』の3つのポイントを押さえれば、従来の社員食堂のシステムで『スマート和食』を実践できます。極端にカロリーを減らすことなく、腹持ちが良いので『間食をとらなくなった』との声もありました」(守谷氏)
【若々しく歩く】
「歩く」のプログラムでは、加速度センサー内蔵の専用歩行計「ホコタッチ」を開発したという。専用歩行計をつけて歩くと、歩数と歩行速度が記録され「歩行生活年齢」がわかる仕組み。職場内のパソコンに設置した「ホコタッチスポット」でデータを読み込んで結果を印刷すれば、活動量はもとより、年代別の「歩行安定順位」や「脳活性順位」などが表示される。
「運動の基本は歩くことですが、歩行の質を上げることも大切です。結果を印刷で見える化すると、社内のコミュニケーションにも役立ち、モチベーションも上がりやすいといえます」(守谷氏)
「スマート和食」と「ホコタッチ」の成果は、内臓脂肪を正確に、しかも簡単に測定できる機器を導入して見える化。5分で内臓脂肪&生活習慣の状態がわかる「生活習慣測定会」を実施し、職場の課題も改善するように促しているという。
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