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新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 魅了した石原慎太郎知事…失われた「政治とメディアの真剣勝負」 都庁番記者は外注のテレビ局 都政関係者に舐められる悪循環

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月26日 6時30分

石原慎太郎氏は知事時代、記者と丁々発止でやりあった(夕刊フジ)

なぜ、東京都知事選は「人気投票」に終始しがちなのか。時事通信は16日、都政関係者らへの取材をもとに考察記事を配信し、青島幸男氏の当選が与えた衝撃や人口動態の変化、バブル崩壊の影響などで、無党派知事が誕生しやすくなったとの見方を示した。

そうした「定説」は確かだが、大手メディアが書きづらい「自分たちの問題」もある。東京都の全体予算は、スウェーデンの国家予算並みの規模を誇る割に、政局にしろ政策にしろ、十分なウォッチング(=権力を監視)がされているとは言い難い。

意外に知られていないが、新聞社やテレビ局で、小池百合子知事や都政の取材を担当しているのは政治部ではなく社会部という社が多い。反権力意識が相対的に強く、政治家と適切な距離をとりやすい半面、部としては事件や社会問題、街ネタなどを広くカバーしている。都政担当は、警視庁担当などとローテーション人事で回すので、専門記者が育ちにくい。

2019年1月、都民ファーストの会の党運営に不満を持った新人都議3人が一斉離党した。実は、その3カ月前に、この動きをどこよりも早くネット媒体でスクープ報道したのは筆者だった。

都庁クラブの記者たちは、慌てて追いかけ取材をしたらしい。1年に数回しか都庁に赴かない筆者でも、良質な情報をつかめば、都政の政局記事があっさり書けてしまう「隙」の多さに、当時は拍子抜けしたものだ。

加えて、最近のテレビ局の中には、制作会社社員に都庁番記者を「外注」している社もあるようだ。質問の中身などから、報道記者としての基礎的な技量に不安のある若い記者も散見される。これでは都知事や都政関係者に舐められやすい悪循環だ。

先日、小池知事への囲み取材で、フリーの記者たちが「学歴問題」を追及しようとした矢先、テレビ局の若い記者が小池氏の着ている服が「勝負服」の緑でないことを尋ね、取材が打ち切りとなる事態があった。

終了後、この若い記者がフリーの記者たちから激しく詰められる様子がネットの動画に流出した。SNSではメディア不信が増幅した。

筆者は最近、ユーチューブで石原慎太郎知事時代の記者会見の一部を「切り抜き」した動画に魅了されている。石原氏の歯に衣(きぬ)着せぬ発言もさることながら、時には記者たちと丁々発止やり合う論戦が面白い。同時に、いまの都政で「政治とメディアの真剣勝負」が失われたようにも改めて痛感する。 =おわり

■新田哲史(にった・てつじ) 報道アナリスト。株式会社ソーシャルラボ代表取締役。1975年、横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、読売新聞記者、ニュースサイト「SAKISIRU」編集長などを経て、現在は企業や政治関係者の情報戦対応を助言している。著書に『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。

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