ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか! 「骨太の方針2024」の真実 岸田首相は「経済、経済、経済」と連呼するが…重い閣議決定で補正予算は絶望的に
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月26日 15時30分
拙欄でも何度も書き、この夕刊フジ紙上でも何度も紹介されていますが、骨太の方針は次年度予算編成の基礎となる文書です。その文言は国家の経済政策を縛るだけの重みがあります。
さらに、3年に一度、歳出の目安が改定されていて、実は今回の骨太はそれに当たります。向こう3年の歳出をも縛る大変重要な文書なのですが、政治資金規正法改正にばかり注目が集まって、骨太の方針にはほとんど関心が払われませんでした。
こういうときに、シレッと大きな決定が行われるのが世の常。今回も例外ではありません。
第3章の2「中期的な経済財政の枠組み」にある「財政健全化目標と予算編成の基本的考え方」に以下のような記述があります。
《予算編成においては、集中的に改革を講ずる2025年度から2027年度までの3年間について、上記の基本的考え方の下、これまでの歳出改革努力を継続する》
この文章だけではあまり意味を持ちませんが、ここにひもづく「脚注139」が重要です。
《139「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)に定められた2022年度から2024年度までの3年間の歳出改革努力を継続。多年度に渡り計画的に拡充する防衛力強化とこども・子育て政策については、それぞれ2027年度まで又は2028年度まで歳出改革を財源に充てることとされている》
つまり、「3年前の骨太の歳出目安を継続する」ということです。
そこで、3年前の文書に当たると、さらに「3年前の骨太を踏襲」と書いてあり、さらに3年遡(さかのぼ)った15年の骨太の脚注にようやく、「社会保障費を除いた歳出の伸びは3年で1000億円」という金額が登場します。3で割ると1年で約300億しか伸びないことが規定され、コロナ期を除き、これが踏襲されてきました。
今回さらに、防衛力強化と、こども・子育て政策は「歳出改革」を財源にとされています。この「歳出改革」とは年300億の縛りを意味します。従って、歳出の伸びは、防衛費増額とこども・子育て支援策に使われてしまい、経済浮揚のために補正予算を組むことなどできないことが決まってしまいました。
こんな硬直的な予算編成で激動の時代を乗り切れるとは思えません。成長のため「機動的な財政出動」が必要な場面もあるはずですが、閣議決定は重く、変更には再度の閣議決定が必要です。
岸田首相に可能なのか? それとも、胆力のある新しいリーダーに期待すべきなのでしょうか?
■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!Cozy up!」(月~金曜朝6―8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。
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