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ニュース裏表 平井文夫 市長が安全保障を壊すな 長崎の原爆忌、イスラエル招待せずG7で日本が孤立 止められなかった首相は「外交の岸田」と名乗れるのか?

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月15日 6時30分

夏は慰霊の季節だ。8月6日は広島、9日は長崎の原爆忌、そして15日は終戦記念日。今年は母の初盆なので山口県の実家でこの原稿を書いている。

以前も書いたが、長崎に原爆が投下された14年後の同じ日に、私は長崎で生まれた。母は原爆投下時14歳で長崎に住んでいた。稲佐山という小さな山が影になって被爆せず、健康被害もなかった。

ただ、爆心地から2キロ以内にいたので、その後の法改正で被爆者手帳を交付された。「親戚や同級生には被曝(ひばく)で亡くなった人もいた」と生前は淡々と話していた。今年も9日の昼前には平和祈念式典の中継を見て、黙禱(もくとう)をした。

被曝2世である長崎市の鈴木史朗市長の平和宣言は「原爆を作る人よ! しばし手を休め、目を閉じたまえ」という被爆者の詩を引用して核廃絶を訴え、心に響くものだった。

だが、鈴木市長がイスラエルを式典に招待しなかったことは明らかな判断ミスである。これを受けて、G7(先進7カ国)のうち、日本以外の米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの6カ国とEU(欧州連合)の大使が欠席した。

鈴木市長は「政治的な理由ではなく、不測の事態を防ぐため」と弁明したが、欧米各国の受け止めは逆だ。

欠席の理由について、ラーム・エマニュエル米国大使は「ロシアは侵略した国で、イスラエルは攻撃の犠牲になった国だ。それを同列に扱う式典に私が出席することによって政治的に受け入れてしまうことになる」と説明している。

欧米の民主主義大国と日本によるG7が発足してから半世紀がたつが、特に安全保障面で日本が他の6カ国からこれだけはっきり孤立したのは初めてではないか。「外交の失敗」である。

鈴木市長が外交の素人だから分からなかったとして、なぜそれを岸田文雄首相が止めなかったのか不思議だ。どこが、「外交の岸田」なのか。

実は、昨年の8月6日、広島市の松井一実市長が「世界の指導者は核抑止論が破綻していると直視する必要がある」と述べるということがあった。調べて驚いたのは、広島の平和宣言では1968年に核抑止論を明確に否定して以降、その基調は引き継がれている、すなわち日本政府と違うことをずっと言っているというのだ。

地方の首長は、できる範囲で政府と違うことをやっても構わない。だが、安全保障政策で違うことをやったらダメだ。それはまさに「国民の安全」に関わることだからだ。

地方の首長が「暴走」する場合は、国が止めなければならない。それができないなら「外交の岸田」と名乗るのはやめた方がいい。

今年は結果的に、「慰霊」に「政治」を持ち込んでしまった。こんなことはこれで最後にしてほしい。 (フジテレビ特別解説委員)

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