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日本の解き方 拡大する新興経済圏「BRICS」の野望と実像 主要国の中露は米国に対抗心燃やすが 通貨はドルなどG7側が圧倒

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月11日 10時0分

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国によって2006年に設立された新興経済圏「BRICS」については、加盟国が10カ国に拡大し、タイなども加盟を希望している。BRICSは先進7カ国(G7)など西側の体制やドルの覇権などに対抗する勢力となるだろうか。

23年8月に行われた第15回BRICS首脳会議で、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が24年1月1日付で加盟国となると発表された。その後、アルゼンチンが不参加の方針に転じ、現在10カ国となっている。

BRICSとG7の人口や国内総生産(GDP)を、国際通貨基金(IMF)の23年のデータで比較してみよう。人口は、BRICSが35・9億人に対し、G7は7・8億人。GDPは途上国で過大になりやすい購買力平価でみるとBRICSは63・6兆ドル、G7は52・8兆ドルだ。市場レートでみるとBRICSは28・3兆ドル、G7は46・8兆ドルとなっている。

BRICSは、主要先進国のG7にとって最大の地政学的ライバルだ。BRICSは先進国、とりわけ米国への対抗心がある。ただし、中露は米国と覇権争いをしているが、インドは先進国との対立を求めないなど一枚岩ではない。

BRICSは、G7に挑戦する「グローバルサウス」の国際協議体であると自らを位置付けてきた。米ドル以外を使った貿易を増やすことで、新興経済国の米ドル依存を下げたいと考え、欧米のシステムから独立した、あるいは補完する金融システムの確立を目指している。

22年6月、ロシアのプーチン大統領は、BRICS加盟国の通貨バスケットに基づく新たな準備通貨を開発すると発表した。この構想は、ウクライナを侵攻したロシアに対し、先進国が経済制裁を発動したことへの反動だ。つまり、ロシアの中央銀行の資産を凍結したり、ロシアの銀行を国際決済ネットワークの国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除したりするといった形で、ドルベースの世界金融が武器として利用したことへのロシアの対抗策でもある。

長い目で見れば、BRICSにはドルの依存を下げたいという野望があるが、現状の国際金融における通貨の利用状況はどうなっているのか。

国際決済銀行(BIS)は3年ごとに調査をしているが、22年4月の通貨別取引高の各通貨シェアは、ドル44・2%、ユーロ15・3%、円8・3%、ポンド6・5%、中国人民元3・5%、豪ドル3・2%、カナダドル3・1%、スイスフラン2・6%、香港ドル1・3%、スウェーデンクローネ1・2%、その他10・8%となっている。

この現状をみると、通貨に関する限りG7が圧倒的にBRICSをリードしている。人民元は最近シェアを増やしているというものの、まだポンドに及ばない。しかも、最近のシェアの上昇は、香港ドルがシェアを落とした影響という側面もあるので、人民元だけの実力ではない。BRICSが脱ドル化するのは難しいのが実情だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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