岩田温 日本の選択 リベラルの本性は「暴力の擁護」にあり〝ヒゲの隊長〟佐藤正久議員に殺害ほのめかす脅迫文書送付、高校教諭の思想とは
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月11日 6時30分
安倍晋三元首相がテロリストの凶弾に倒れた直後、「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久参院議員に脅迫文書が送付されていた。「今度はあなたの番です」と殺害をほのめかす内容だった。脅迫文書を送付した容疑で北海道立雄武高校の教諭、池村啓容疑者が逮捕された。
調べに対し、池村容疑者は「憲法を軽視し、基本的人権の尊重をないがしろにする言動や態度に立腹した」と供述しているという。池村容疑者の詳しい思想的背景については不明瞭だが、いわゆる護憲派の一人であることは間違いないだろう。
不思議なのは「基本的人権の尊重」を強調しながら、自身の考えと異なる政治家に殺害予告の脅迫文書を送りつけている点である。
言うまでもなく、「言論の自由」「思想信条の自由」「表現の自由」は日本国憲法で保障されている基本的人権の重要な要素である。「憲法を守れ」「基本的人権を守れ」と主張しながら、平気で憲法が保障している基本的人権を踏みにじる。大いなる矛盾なのだが、彼らはこれを矛盾と感じていないようだ。
日本で「リベラル」を自称する人々は口先では平和主義を唱え、基本的人権の擁護をうたい、多様性の尊重を強調する。だが、実際には自分たちと異なる見解の持ち主を暴力的に排除しようと試みる。彼らの行動は彼らの主張と相矛盾している。
矛盾に満ちた摩訶(まか)不思議な態度と言わざるを得ないが、そもそも左翼の本性は「暴力の擁護」にある。
小説『嘔吐(おうと)』で有名なフランスの哲学者、サルトルは、毛沢東主義に傾倒する知識人でもあった。彼は「毛沢東主義者をなぜ支持するか」とのインタビューの中で、次のように語っている。
「革命体制は自らを脅かす何人かの人間を清算せねばならず、そしてその際、死を与える以外の手段が私には思い浮かばないのです。牢獄ではいつでも外に出てくる可能性がある」
革命に対し反対する勢力は、生かしておくと革命体制を覆しかねない。従って粛清して構わないとサルトルは堂々と宣言しているのだ。自らの理想を実現するためには手段を選ぶべきではない。これが革命家の論理に他ならない。
安倍元首相を暗殺したテロリストに触発された護憲派高校教諭。一体、彼は高校生たちにどのような授業をしていたのかが気になってならない。よもや平和民主、人権擁護を説いていたのならば、授業を受けた生徒たちはあぜんとするだろう。
口先で美辞麗句を並び立てながら、革命を夢想する左翼ほど悪質な存在はいない。自称「リベラル」の嘘にだまされてはならない。 (政治学者・岩田温)
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