金峰山、イスラム教徒初の幕内優勝逃す 千秋楽までトップも…王鵬と豊昇龍に歯が立たず連敗 初の12勝で2度目の敢闘賞

千秋楽まで優勝争いの先頭を走った西前頭14枚目の金峰山（27）＝木瀬＝は、勝てば初賜杯の本割で王鵬に敗れ、優勝決定巴戦でも豊昇龍に歯が立たず。イスラム教徒初の幕内最高優勝を逃したが、初の12勝で2度目の敢闘賞を受賞した。

中央アジアのカザフスタン出身で、日大を経て2021年九州場所で三段目付出しとして初土俵。師匠の木瀬親方（元前頭肥後ノ海）の故郷熊本にある山から命名された。本人はもっと大きな山だと思っていて、標高665メートルと知りガッカリしたとの逸話もある。もっとも、師匠は「由来を知らないから連れて行った。宮本武蔵が『五輪の書』を書いたところで、私にとっては大事な山。熊本では阿蘇山よりも有名だから」と胸を張る。

イスラム教の戒律から酒は飲まず、豚肉も食べられないためちゃんこは別メニュー。一方で、約1カ月も断食するラマダンは「両親の教育で、郷に入っては郷に従えで、やっていない」という。

「日大で4年間しごかれているから、先輩をしっかり立てるし、日本人より日本人みたいなところがある」と木瀬親方。まな弟子と故郷の名峰が、さらに有名になることを願っている。　（塚沢健太郎）