日朝「極秘交渉」は筒抜け? 韓国紙が相次ぎ特報、情報管理に強まる懸念 「日本政府関係者から漏れたなら決定的な失態」
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月14日 11時41分
北朝鮮による日本人拉致問題の水面下交渉をめぐり、情報管理に懸念が強まっている。岸田文雄首相は拉致問題の全面解決に向けて、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記とのトップ会談に意欲を燃やすが、韓国紙による「極秘交渉をスクープした」とする報道が相次いでいるのだ。拉致被害者の生命がかかる秘密交渉が、第三国に筒抜けだとすれば致命的な事態である。日本政府内に衝撃が広がっている。
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「これまでも、さまざまなルートを通じて『働きかけ』を行っているが、事柄の性質上、答えは差し控える」
林芳正官房長官は13日の記者会見で、「日朝関係者がモンゴルで接触した」とする韓国紙、中央日報の報道について、こう明言を避けた。
同紙は、モンゴルの首都ウランバートル付近で5月中旬、政治家を含む日本の交渉チームと、北朝鮮の諜報機関関係者が接触したと報じた。日本政府内では、「岸田首相の8月前半のモンゴル訪問」が検討されているが、林氏は「何も決まっていない」と説明した。
深刻なのは、昨年7月にも韓国紙、東亜日報が「日朝実務者が複数回、中国やシンガポールなどで水面下接触を行った」と報じていることだ。同紙は、日本が交渉計画を事前に米国側に伝えて交渉に臨んだが、日朝の溝は埋まらなかったとも伝えた。
当時の松野博一官房長官は「そのような事実はない」と否定した。だが、同年9月にも朝日新聞が「日朝水面下交渉」を〝特ダネ〟として報じた。拉致被害者の奪還を左右しかねない重要機密が相次いで漏洩(ろうえい)した疑いがあるのだ。
ある拉致被害者家族は「われわれは日本政府を信じているが、このような事態(=水面下交渉の報道)が続けば、被害者帰国の道が閉じかねない。命がかかる交渉で『緊張感』が欠如していないか」と怒気を強める。
確かに、拉致被害者5人の帰国につながった2002年の日朝首脳会談では、事前の水面下交渉が具体性を持って報じられることは皆無だった。
一体何が起きているのか。日朝関係筋はいくつかの可能性を指摘する。
「まず、日本政府関係者から情報が漏れたなら、決定的な失態だ。次に、北朝鮮側がリークしたとすれば、日本は交渉のハシゴを外された。中央日報が言及した日本の『政治家』から漏れた可能性もある」
岸田首相は昨年5月、被害者奪還を訴える国民大集会のあいさつで、「首相直轄のハイレベル協議」を打ち出し、拉致解決を誓った。以降、支持率が低迷する政権の浮揚になり得る日朝交渉に強い意欲を示してきた。
日本政府関係者は「報道が事実か否かは別として、日朝の水面下交渉が韓国紙に何度も『抜かれる』のは危機的だ。韓国内には、日朝関係が進展することを懸念する勢力もいる。日朝首脳会談に向けた最終局面では、韓国側に介入させない交渉も必要かもしれない」と語った。
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