夕刊フジの「まっすぐな報道姿勢、欠かせない大きな力に」拉致被害者家族の横田早紀江さん「政府は『本気の覚悟』を」単独インタビュー
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月29日 15時0分
北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)が夕刊フジの単独取材に応じ、休刊への惜別と、被害者奪還に込める切実な思いを語った。めぐみさんが北朝鮮に連れ去られてから47年が過ぎたが、事態は膠着(こうちゃく)したままだ。早紀江さんは「報道の力」と「国民の支援」による後押しに期待を込めた。
背中を押されてきた
「夕刊フジの『まっすぐ』な報道姿勢に背中を押されてきました。休刊は本当に残念です。ポッカリと心に穴が空くようなさびしさがある」
1977年11月、中学1年だっためぐみさんが姿を消した当初、北朝鮮の犯行とは分からず行方を探し続けた。97年に拉致と判明して被害者家族会が結成、救出運動を続けてきたが今も〝苦闘〟は終わらない。
夕刊フジと僚紙の産経新聞には強い思いがあるという。
「産経新聞は、最初に拉致の疑惑を報じ、めぐみの存在も伝えてくれた。夕刊フジはいつも『筋』を通し、日本国のありようを伝えてくれた。国家の主権を守るのは命懸けで生半可ではありません。拉致という無慈悲な国家犯罪に直面した私たちだからこそ、全身全霊で世論に訴える姿は心を震わせるものがあった」
有本明弘さん「ここに真実と解決への答えがあるんや」と
印象的な出来事として、2017年3月の家族会の記者会見を挙げる。1983年に欧州で拉致された有本恵子さん(65)=同(23)=の父、明弘さん(96)が夕刊フジを手に、被害者奪還を訴えた。「明弘さんは『ここに真実と解決への答えがあるんや』と、声を張り上げていた。夕刊フジをはじめ、報道は私たち家族にとって欠かせない、本当に大きな力なのです」と振り返る。
政府「本気の覚悟」を
被害者、家族はともに老い、病や衰えが襲いかかる。
「2月に誕生日を迎え、89歳のおばあちゃんになってしまいます。いつまで戦えるのか。『必ず、めぐみと再会する』という決心が揺らぐときもあるが、『すべての拉致被害者に祖国の地を踏ませる』という国民の思いが支えになる。拉致に怒り、解決を求める力強い声が支えなのです」
家族会は被害者全員の「即時一括帰国」を訴え、日本政府、そして北朝鮮に〝決断〟を求めてきた。だが事態は進まず、日本政府が模索する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との日朝首脳会談への筋道も見えない。
早紀江さんは「苛立(いらだ)ちは日々、募る。いま、この瞬間も被害者は人生の時を奪われ、人間としての尊厳を傷つけられている。日本政府は本気で取り組んでいるのか。石破茂首相は、毎日一秒でもいいから被害者帰国を訴え、政府には『本気の覚悟』で動いていただきたい」と思いを語る。
メディアに奮起切望
歴代政権同様、拉致問題解決を「最重要課題」に掲げる石破首相だが、政府の奮起を後押しする世論の存在が重要になる。だからこそ、早紀江さんは報道機関にこう願う。
「私は毎朝、新聞を読まないと落ち着かない人間です。拉致問題のニュースがあれば『一歩進んだ』と勇気をもらう。同じようにたくさんの国民が報道を見つめている。わが国にとっての重大事をまっすぐな思いで国民に伝え、共有する力を、メディアには発揮していただきたい」
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