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徹底解説・第5弾 男性更年期 職場・生活術から考える改善 職場環境の変化が「男性更年期障害」の引き金に ジムに行けずメタボ化、膝痛や腰痛を抱え…体調不良に拍車

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月7日 6時30分

順天堂大学大学院 井手久満特任教授に聞く

仕事の過重なストレスは、男性ホルモンのテストステロンを減らし、男性更年期障害(LOH症候群)につながりやすくなる。厚生労働省の2022年「労働安全衛生調査」によれば、仕事や職業生活に関する強いストレスを感じている労働者の割合は約82%。主な内容は、「仕事量」「仕事の失敗・責任」「仕事の質」だった。

「職場環境が変わってストレスを強く感じることも、男性更年期障害の引き金になります。運動不足や肥満なども合わさることで、さらに男性更年期障害に陥りやすくなります。デスクワークで運動不足、ストレスを抱えている会社員の人は、とくに注意しましょう」

こう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座の井手久満特任教授=写真。日本メンズヘルス医学会の理事などを務め、LOH症候群診療の手引き作成委員会の副委員長でもある。

たとえば、以下のケースも、会社員では起こりやすい。

40代のBさんは営業マンとして実績を重ね、管理職に抜擢された。最初は意気揚々としていたが、営業外回りから長時間のデスクワークになったことで、首こりや腰痛に見舞われるようになった。ストレス発散のために何か運動をしたかったのだが、管理職として夜遅くまで業務をこなさなければならず、スポーツクラブに通う余裕はなかった。

しばらくすると、スーツのウエストがきつくなり、体重計に乗って5キロも増えていることに気づいた。長時間のデスクワークで身体活動量が低いにも関わらず、営業外回りの頃と同じ食事量をとっていた結果、体重が増え始めたのだ。

「この段階で生活習慣を見直し、運動習慣の開始や食事量の変更などに取り組めば、男性更年期障害を予防することは可能です。しかし、職場環境の変化に伴うストレスなどで、テストステロンが減っていると、やる気が起こらず、症状の悪化につながることがあります」(井手医師)

Bさんはその年の定期健康診断で、初めてメタボリックシンドローム症候群と診断された。膝痛や腰痛も抱え、体調不良に拍車がかかる。調子はすこぶる悪いが、医療機関に行く気が起こらない…。

悶々(もんもん)としていたある日、ネット検索で男性更年期障害のことを知り、自分に当てはまる症状に驚いた。勇気を出してメンズクリニック外来を受診すると、やはり男性更年期障害との診断だった。食生活の見直しとテストステロン補充療法(TRT)で、3カ月後には、体重が営業職時代に戻り、膝痛や腰痛、体調不良から解放された。

「仕事のストレスは、昇進や人事異動で負荷が大きくなることがあります。また、定年退職後の環境の変化も、ストレスになることがあります。それらをきっかけにテストステロンが減少し、頭痛やめまい、気分の落ち込みなど、人によって男性更年期障害のさまざまな症状を引き起こすのです」(井手医師)

男性更年期障害が疑われるときには、メンズクリニックへ早めに受診したい。 (取材・安達純子) 【あすは「睡眠時無呼吸症候群」です】

■井手久満(いで・ひさみつ) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座特任教授。医学博士。1991年宮崎大学医学部卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校ハワードヒューズ研究所、帝京大学医学部泌尿器科学准教授、獨協医科大学埼玉医療センター教授などを経て2023年から現職。

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