自民党新総裁への期待と直言 石破首相に〝憂国の士〟の覚悟 憲法改正に期待 マッカーサー元帥の機嫌を忖度、吉田茂氏が強行 曖昧な部分が多い解釈の確認も
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月7日 6時30分
国際歴史論戦研究所会長・杉原誠四郎氏
私は高市早苗経済安保相を応援していたので、高市氏が自民党新総裁に選ばれなかったことは残念に思っている。
だが、石破茂首相(総裁)も総裁選中、「国家と国民を守る」と、憂国の士のような覚悟を語っていた。安定的な皇位継承策をめぐっても、当初は「女系天皇」を排除しないとの認識を示したようだが、最終的には「男系男子の伝統は大切にしなければならない」と言っていた。彼が嘘つきでないかぎり、安心してよいのではないか。
長年の懸案である「憲法改正」問題では、それなりに期待できると思っている。石破首相はかつて、私を議員会館に呼んで、私の憲法改正論を聞いてくれたことがある。
まず、日本国憲法第9条の正しい解釈について、自衛権を否定しておらず、そのために戦力を持ち、交戦権を保持していると説明した。これを持っていないと解釈したのは、時の首相、吉田茂氏がダグラス・マッカーサー元帥の機嫌を忖度(そんたく)して、戦力も交戦権も持たないと、あえて間違った解釈をしたからだ。
自衛のために戦力を持ち、そのための武力集団たる軍隊を持つということは、憲法第66条第2項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」という条文を占領軍の命令で追加したことからも分かるように、占領軍も認めていた。
にもかかわらず、吉田氏が意図的に間違った解釈を強行したのだ。
実は、最も早く出版された日本国憲法の注釈書である、芦田均著『新憲法解釈』(ダイヤモンド社 1946年11月3日発行)では、「自衛のために戦力は持てる」となっていた。
芦田氏は元首相で、衆議院帝国憲法改正案委員会の委員長を務めた。同書の発行日は、憲法の公布日である。
これらのことを説明すると、石破首相は当時、「該当ページのコピーもほしい」と言われたので、渡している。
そして、私は「憲法改正の骨子」を次のように伝えた。
内閣の責任で、第9条の解釈を本来の正しい解釈に戻し、そのうえで自衛隊の設置の条文を第3項に追加すればいい。方法として正しいし、結果的に、最も早く憲法改正のできる進め方になるのではないか。
安倍晋三元首相は、第9条の解釈は1ミリも変えないで、第3項に自衛隊の設置を明記するとしていた。この改正では、問題を複雑にし、かえって混迷を深めることになる。
そんなことを伝えると、石破首相はうなずいていた。
憲法には、他にも解釈の問題で曖昧なものが多くある。
天皇陛下が元首であることは当然なのに、元首かどうか分からないという解釈が一部で横行している。この憲法で国家を進めている以上、元首であることは、疑う余地がない。
ともかく、石破首相には、憲法解釈の確認とともに、憲法改正を断固として進めてもらいたい。
■杉原誠四郎(すぎはら・せいしろう) 教育研究家、日本近現代史研究家。1941年、広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。城西大学教授、武蔵野大学教授を歴任。現在、国際歴史論戦研究所会長。著書・共著に『日本の神道・仏教と政教分離』(文化書房博文社)、『吉田茂という反省』『吉田茂という病』(ともに自由社)、『安倍晋三の黙示録としての「要説・吉田茂という病」』(Kindle版)など多数。
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