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うまちゃんの財ザク! 米FRBが「物価と雇用の番人」なのに対し、日銀は「物価の番人」で雇用や賃上げに責任を負っていません 「追加利上げ」に慎重な判断を

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月9日 11時0分

経済アナリストの馬渕磨理子さん(夕刊フジ)

5日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価の終値が1033・99ドル安となり、今年最大の下落幅を再び更新しました。急落の端緒は、先週2日に発表された7月の米雇用統計。失業率が市場予想を大きく上回って、6月の4・1%から4・3%と悪化しました。景気への懸念が高まったわけです。

米国の連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先月31日、今後の物価上昇率や雇用などの経済指標を見極めたうえで「早ければ次回9月の会合で利下げを行う可能性がある」と言明。米国では市場の関心が「物価」から「雇用・景気」にシフトしています。

米株式相場の大幅下落や円高進行に加え、先月31日の日銀の金融政策決定会合で短期金利の誘導目標を0・25%程度に引き上げることが決定しました。

日経平均株価も大幅に下落しましたが、平常時に作成し、以前、この欄で紹介した「日経平均の見通し」が、いまのような下落相場に役立ち、冷静な判断を促します。

日経平均が4万2000円の時にPER(株価収益率)は17・5倍でした。急ピッチな上昇と、割高感に耐えられずに8月2日の日経平均PERは14・9倍まで下落しています。

日経平均は1年間を通じてPER12~16倍で歴史的に推移してきました。現段階の日経平均の1株当たり利益(EPS)を2548円とすると、PER13倍は3万3124円、12倍は3万0576円の試算になります。大幅下落とはいえ、日経平均のPERのレンジでみれば、逸脱していないことがお分かりいただけます。

投資家の期待値であるPERが12倍ぐらいまで下がって、日経平均が3万円台前半になっても、PERで考えると想定の範囲ということになります。

早すぎる利上げは景気後退へ

ただし、現在も強まっている「追加利上げ」については慎重な判断が求められます。早い利上げは好ましくありません。FRBは「物価と雇用の番人」なのに対し、日銀は「物価の番人」という位置づけです。雇用や賃上げに責任を負っていません。

しかし、政策金利引き上げ決定後、日銀の植田和男総裁は住宅ローンの支払いへの影響を問われ、「利上げは賃金上昇が続くという見通しの中で判断されている。変動金利型住宅ローンについては、金利が上がっても利払い額は5年間据え置かれるものが多いと認識している」と語っていました。だったら、日銀さんも雇用についても責任を持ってもらう方向になってほしいものですよね。

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