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ニュースの核心 トランプ氏指名、次期米駐日大使に〝強面〟グラス氏 〝大目に見てもらえる〟は甘い、日本に迫るのは「駐在米軍経費負担増」か「関税」か

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月22日 10時0分

対中強硬派で元投資銀行トップ

ドナルド・トランプ次期米大統領が、次期駐日大使に元投資銀行トップのジョージ・グラス氏を指名した。グラス氏は第1次トランプ政権でポルトガル大使を務めていた当時から「中国に厳しい姿勢」で知られていた。対日外交は、どうなるのか。

グラス氏はポルトガル在任中の2020年9月、同国への進出を目指していた中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」について、「ポルトガルは米国を選ぶのか、中国を選ぶのか、決めなければならない。ネットワーク・プロバイダーに中国企業を選ぶなら、重大な結果を招く」と指摘して、反対した。ポルトガルのマルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領は「国の運命を決めるのは、国民に選ばれた代表だけだ」と反発し、外交問題に発展していた。

トランプ氏は、グラス氏指名に際して自分のSNSに、「投資銀行の元社長として、ジョージは大使の仕事にビジネス感覚をもたらしてくれるだろう」と投稿した。

これは何を意味するのか。

トランプ氏は第1次政権の19年、日本に対して在日駐留米軍経費の負担を4倍に増やすよう要求した。現在の日本を取り巻く安全保障環境の厳しさは、当時とは比較にならない。

そう考えれば、トランプ次期政権が米軍経費の大幅増や、日本の防衛費拡大を要求してくるのは確実だろう。その際、トランプ氏は「要求を拒否するなら、日本の輸入品に対する関税を引き上げる」という切り札を切ってくる可能性が高い。「関税カード」だ。

これには前例がある。

トランプ氏は、カナダとメキシコに対して、「米国への不法移民と麻薬の流出を止めなければ、25%の関税を課す」と表明した。カナダのジャスティン・トルドー首相は、慌ててトランプ氏のフロリダの別荘に駆けつけて、3時間にわたってトランプ氏と会談したほどだ。

北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるカナダでさえ、手加減しないのであれば「日本は大目に見てもらえる」と考えるほうが甘い。

まして、日本は米国が最大のライバルであり、脅威とみなす中国に対峙(たいじ)する最前線国家だ。その日本を守る駐留米軍経費を負担するのは、トランプ氏からみれば、当然の話なのだ。グラス氏は、そんなトランプ氏の意向をくんで、「日本は負担増を受け入れるのか、それとも関税を選ぶのか」と迫ってくるのではないか。

トランプ氏の言動を見ていれば、以上は誰の目にも明らかと思われるが、石破茂政権の動きは、まったく鈍い。例えば、17日配信の読売新聞電子版はトランプ氏との首脳会談について、「焦る必要はない」「就任前に慌てて会談すれば、防衛の負担増といった宿題をもらうこともあり得る」(政府関係者)と報じている。

これは「外務省の責任逃れ」としか思えない。

トランプ氏は安倍晋三元首相の妻、昭恵氏との会談後、記者会見で「日本が望むなら就任前に会談してもいい」と語った。そこまで言われて、もしも就任前の会談が実現しなかったら「外務省の責任問題になる」とみて、期待値を下げていたのだ。

外務省は「就任後に会談すれば、防衛費の負担増は要求してこない」とでも思っているのか。そうだとしたら、あきれてモノも言えない。外務官僚の「その場しのぎと責任逃れ」にもほどがある。

読売新聞は19日、トランプ氏が、石破首相との初会談について、「来年1月中旬であれば応じられるとの意向を日本側に伝えたことがわかった」と報じた。日本政府は「1月訪米の可能性について検討に入った」という。外務省はホッと胸をなで下ろしているに違いない。 (ジャーナリスト)

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