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台湾新総統就任目前、中国の軍事行動に警戒感増す 「台湾が勢力下に入れば…八重山には中国が直接の脅威に」仲新城氏

zakzak by夕刊フジ / 2024年5月9日 15時30分

中国が東シナ海で威圧を強めている。8日には「第二海軍」ともいわれる中国海警局船4隻が沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の領海に侵入した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは139日連続だ。中国は台湾の金門島周辺などでも威嚇行動を繰り返しており、20日に実施される頼清徳新総統の就任式以降の軍事活動への警戒感が増している。習近平国家主席は台湾を「核心的利益」と位置付け、尖閣についても一方的に領土問題化しようとするなど現状変更の野心を隠さない。米欧も空母の派遣など対中包囲網を敷くなか、日本も「台湾有事」への備えやさらなる連携強化が求められている。

「尖閣」領海侵入

尖閣周辺の領海に、中国海警局の船が侵入したのは今年に入って14日目。4月下旬には石垣市の海洋調査船に海警局船が接近し、活動を妨害した。

台湾に近い沖縄県の先島諸島では特に危機感が強い。

日本最西端の与那国島は台湾から111キロしか離れていない。与那国町の糸数健一町長は今月3日に東京都内で開かれた憲法フォーラムで「台湾が共産党一党支配の中国に、武力行使であれ、名ばかりの平和統治であれ併合されれば、『台湾海峡問題は与那国海峡問題』になる」と語り、「平和を脅かす国家に対し一戦を交える覚悟が問われている」と強調した。

石垣市の地元紙、八重山日報の仲新城誠編集主幹は「地元は台湾有事に関心が高く、危機感を抱いている。中国が一国で日米に対抗できると過剰な自信を抱いた瞬間、『Xデー』は来る。与那国町長が述べたように、台湾が中国の勢力下に入ると八重山の住民は中国の軍事勢力に直接脅かされる。尖閣周辺の領海侵入が10年近く常態化し、ならされてしまっているのも問題だ。県民だけでなく、日本全体で今一度考え直す必要がある」と語った。

台湾周辺では4月下旬から今月にかけて、中国軍機が台湾海峡の暗黙のライン「中間線」やその延長線を越えて台湾の空域に進入する事態が相次いでいる。6日には中国海警局船の4隻が、中国福建省に近い台湾の離島、金門島周辺の「禁止・制限水域」に侵入した。

元陸上自衛隊中部方面総監の山下裕貴氏は「中国は日本に対して『台湾に肩入れすれば圧力を強める』と、尖閣を圧力弁のように利用している。台湾にも、中国の姿勢に反する態度を取れば強硬手段に出ると脅しをかけ続けている。度重なる中国軍機の中間線越えも得意の既成事実化の手段だ。中国は野党・国民党の馬英九前総統を招くなど離間工作も進めている。現時点では大規模な軍事演習を行っていないが、就任式で頼新総統がどのような姿勢を打ち出すか静観しているのだろう。就任式以降は、中国側は頼氏の言動を恣意(しい)的に解釈して圧力を強めることが警戒される」と話す。

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