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八幡和郎 民主主義の危機・国家指導者 欧米では「保守」「リベラル」両極端がともに伸長 日本では自民が超保守派を包含、一方で中道派の公明と連立政権維持は賢い

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月28日 15時0分

自民党総裁選の情勢調査では、国会議員は中間派が優勢だったが、党員・党友では「保守」と「リベラル」の両極端が支持を集めた。このため、第1回投票は党員・党友票が反映され、決選投票は議員票で決まることに違和感が指摘された。少し制度を見直した方がいい。

欧米でも、「右派」台頭が顕著な一方、反動で「左派」も息を吹き返し、中道派が不振のようだ。これも予備選挙という制度が一般化してから、出てきた問題だ。

米国では、保守派のドナルド・トランプ前大統領が、穏健リベラルのジョー・バイデン大統領を討論会で撃破して優勢かと見えた。だが、超リベラルなカマラ・ハリス副大統領が候補になってから、予断を許さない。

今回の総裁選では、「誰が対米外交を進めるうえで適任か」というのも争点になったが、大統領選挙が接戦なので判断が難しかった。次からは、自民党総裁を任期4年にして、米大統領選の後にした方が適切かと思えるほどだ。

新総裁・新首相には、トランプ、ハリス両氏のどちらが当選しても、上手に付き合えるようにしてほしい。希望的観測に基づくことなく、冷静にどうすれば信頼関係を構築できるか、虎の尾を踏むことがないか、作戦を立ててほしい。

欧州では、英国では保守党政権が右傾化してEU(欧州連合)離脱をしたら、大失敗で労働党に政権を奪われた。ドイツは社民党(SDF)などの左派政権だが、次の選挙では、アンゲラ・メルケル前首相が属していたキリスト教民主同盟(CDU)が強そうだ。緑の党は壊滅状態で、極右Adfが躍進しそうで、CDUとSDFの大連立かもしれない。

欧州ではこれまで、極右(保守強硬派)を体制外的勢力として排除してきた。だが、欧州議会選挙での極右伸長や、イタリア極右、ジョルジャ・メローニ政権の「成功」で修正を迫られている。

フランスでは、中道派のエマニュエル・マクロン大統領派が議会でも多数だった。最近の総選挙では、マリーヌ・ルペン氏の極右「国民連合(RN)」が第1回投票の得票率で首位に立ったが、決選投票で第3党にとどまり、第1党は大統領派でなくNFP(左派連合)になった。

三大勢力の拮抗(きっこう)なので、第4党LR(旧ドゴール派)の長老、ミシェル・バルニエ氏が新首相になった。バルニエ氏は73歳と高齢なので、3年後の大統領選でルペン氏の対抗馬になりにくい。対移民強硬派なので、左派が不信任案を出してもRNが棄権してくれることをあてにしている。

仏独では、①最大勢力でも極右とは連立しない②党員がくら替えして合流するのもダメ③よく似た政策は採らないといった極端な方針からの転換が不可避だ。

日本では、自民党が超保守派まで包含する一方、中道派の公明党と安定した連立政権を維持しているのは賢いと評価すべきだろう。 (評論家 八幡和郎)

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