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ぴいぷる 脚本家・演出家の矢島弘一 立ち位置は弱者の側に…〝書く〟は「僕の中のすべて」 舞台「オケピ!」に衝撃、家業を経営しながら演劇修行

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月21日 6時30分

「ナレーション学校の先生から、演劇を学んでみたらとアドバイスを受けて、29歳のときに俳優の学校に行ったんです」

そこで演技を学んだ後、50人ほどのキャパの小劇場の舞台に立つようになるが、満足できなかった。そこで自身で劇団を立ち上げるも、できたばかりの劇団に戯曲を書いてくれる人もなく、「最終的にやむなく自分で書き始めたってことです、簡単にいうと」。

とはいえ、いきなりうまくいくわけもなく、「4、5年前までは会社を経営しながら、自分もトラックを運転しながらなので、大変でしたよ。借金まみれでね。ただ親父にもタンカを切って演劇を始めたので、やめるわけにはいかない。自己破産寸前で会社を手放したんですが、当時TBSのドラマの打ち合わせを緑山のスタジオでしながら、税務署と電話でやりあっていました。恥ずかしい話ですが…」と明かす。

そんな苦労をしてきただけに、描く登場人物にも思い入れが強い。

「やっぱり弱い立場の人を書くことが多いですね。社会的な〝弱者〟という立場の人たちの味方になることを常に心がけています。一番、最初に考えるのは登場人物の人物像、キャラクターの履歴書です。そこから話は導かれていきますから」

では、彼にとって〝書く〟という作業はいったい何なのだろう。

「生きる術じゃないかな。趣味でもあり、遊びでもあり、生活でもあり、なんか仕事でもあり、僕の中のすべてかもしれない。子供との会話も役に立つんです。現在放送中の『バントマン』(フジテレビ系)でも、小4の息子との会話が生かされていますから」

その生き方が、すべて言葉として紡がれていくのだ。

(ペン・福田哲士 カメラ・相川直輝)

脚本担当 映画「六人の嘘つきな大学生」公開

■矢島弘一(やじま・こういち) 脚本家、演出家。1975年8月26日生まれ、49歳。東京都出身。実家の運送業を経営する傍ら、2006年に劇団「東京マハロ」を旗揚げ。主宰を務め、脚本も手掛ける。16年、「毒島ゆり子のせきらら日記」(TBS系)で向田邦子賞を受賞した。主な脚本作品は「ふるカフェ系ハルさんの休日」(15年、NHK・Eテレ)、「コウノドリ~命についてのすべてのこと~」(17年、TBS系)の第2シリーズ、「ハルカの光」(21年、NHK・Eテレ)など。現在は「バントマン」(フジテレビ系)が放送中。

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